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概念部屋《C-Room》  作者: トルネードおさげたん  トルネードG&T
シーズン01
77/173

シーズン01 第077話 「生活パッケージ」

「通販で生活セットを売って欲しい」

「なによそれ」

「なにも考えずにそれを買ったら一ヶ月生活できるセット」

「それは……ありね」

「でしょ?」

「一ヶ月分の食料と日用品とあと衣類とかが一箱セットになって届くって感じよね」

「そうそう。食べ物も献立が入ってて、その順番に食べていけば栄養バランスもバッチリ! みたいな」

「生活ね」

「生活でしょ。これによって生活に必要な労力を極限まで切り詰めることによって生まれた時間を使って」

「使って?」

「……何しようか」

「学生は暇だから切り詰める必要はあまりないわよね」


「時間あったら何する?」

「ゆっくりするわ」

「そうかー」

「というか今でもかなりゆっくりしてるわね」

「となると時間があるうちに何かやっておいたほうがいいのでは」

「何するの?」

「何しようかな」

「まあ、そうなるから時間があるってことなのよね」

「じゃあ時間があるうちに時間がない時の時間の作り方を考える! ということでいざという時のために生活パックの中身を考えよう!」

「おー!」

「なかなか追随するね」

「私も時期的に暇なのよね」


「まずは食料一か月分だよね。あと献立」

「それなんだけど、いちどに送られてくると献立ペースを超えて食べてしまう人が出てくるから日ごとに分けて送られてきたほうがいいんじゃないかしら」

「出前!」

「通販と提携した出前ね」

「食べ終わった食器を玄関のところに置いておくと回収してくれるんだよね」

「イメージがなんか田舎っぽいけど、でもそうすれば食器を洗ったりごみを捨てる手間も省けるからより生活によさそうね」

「労務節約!」

「もっと言うと、定期購入者にはお掃除ロボットも貸してくれるとかだとより便利ね」

「お掃除ロボは邪魔じゃない?」

「そうかしら。休止状態の時は部屋の隅で固まってるしそれほどでもないと思うわよ」

「でも洗剤も入れなきゃいけないし、水道ともつながないとだめでしょ?」

「いや、そういう業務用のじゃなくて」


「次は日用品か。例えば歯ブラシとか……歯ブラシとか?」

「ほかに何かないの」

「……ティッシュペーパー?」

「要するに、浴室用品とお手洗い用品ね。石鹸とか、トイレットペーパーとか」

「歯ブラシは?」

「浴室用品ね。正確には洗面台だけれど」

「あと割り箸! 爪楊枝!」

「なるほど。食卓用品もあるわね」

「あと布団!」

「それはサポート対象外」


「あとは衣類か。私たちは制服だからいらないけど、普通はどのぐらい必要なのかな」

「そうね。季節にもよるでしょうけど、アウターが月に四着ぐらいかしら。インナーはもうちょっと必要ね」

「なんで急に下級市民と上級市民に分けて論じ始めたの」

「アウターとインナーは衣類の区分よ! 端的に言えばアウターが上着でインナーが下着ね」

「アウターなのに上着?」

「アウト側なんだから上着でしょうに」

「たしかに」

「さては上級市民と下級市民を引きずってるわね」

「ご明察」

「ご明察、じゃありません」

「はい」

「あと、話しながら気づいたけど衣類って毎月買い替えるものでもないし、レンタルでもいいかもしれないわね」

「毎月返すの?」

「そう。そこは少し手間だけど、逆にクリーニングが必要な服とかはこっちでクリーニングしなくても返却で送るだけで済むわよ」

「下着も?」

「下着は買い取り」


「これでパッケージが一通りできたかな」

「食べ物は月単位じゃなくて日単位で来るようにかえたから、これなら毎月段ボールひと箱に収まりそうね」

「仕送りだねえ」

「お金は払うんだけどね」

「でもこの生活パックがあれば日々の……ん?」

「ん?」

「よくよく考えたらさ、私たち食堂でご飯食べてるじゃん?」

「そうね」

「で、服は基本制服でしょ」

「寝巻と運動着以外は休日でも基本この格好ね」

「洗面台っていうか日用品は補充があるし」

「あるわね」

「布団もある」

「ある」

「生活パック必要ないのでは?」

「ないわよ?」

「駄目じゃん!」

「だから時間があるのよ」

「あー」




 平安の貴族は日々の生活を

   部下に任せて暇にならない?

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