シーズン01 第068話 「22の文字」
「いや、そうじゃなくて。Wより後のアルファベットって要らなくない?」
「文字自体が?」
「文字自体が」
「ほう」
「別に22文字がいいって話じゃなくて、末尾のアルファベット四文字がそもそも代用可能なのよ」
「XはKとSでできてるみたいな話?」
「そういうことよ。同様に、YはIの代用よね」
「24文字だ」
「そしてZはSで代用可能よね。現に今でも多くの単語がSとZのどちらを使うかで迷われているわ」
「Wは?」
「ダブルユーなのでUがあれば不要」
「22文字!」
「ね?」
「これで0から9と組み合わせることで32進数が」
「だから数字の話じゃないんだってば」
「でもさ、アルファベットってどちらかというと文字足りてないよね」
「そう?」
「二文字で一音みたいなの結構あるじゃん。有名どころでは子音だとthとかshとか、母音だとauだとかooだとか」
「そういえば結構あるわね、そういうの」
「sと被ってるから取り除いたzも本来は違う音なのが被ってるし」
「日本語の濁点にあたるところね」
「そういう音に対して本当に一対一で対応しているアルファベットというのが世界言語となった英語には求められているのではないかと! 思うのですが!」
「発音記号じゃダメなの?」
「……ダメじゃないです」
「結論が導出されたわね」
「しかしなぜ日常だと発音記号使わないんだろうか」
「覚えにくいからじゃないかしら」
「とはいえど100文字ぐらいでしょ? 漢字なら世の小学一年生レベルじゃん」
「あー、そういわれればそうね。というかひらがなだって50文字弱あるわけだし」
「これからの時代、知識人層は発音記号で英文をかけて一人前という方向性にもっていかなければならない」
「私は書けないわよ」
「私も書けません」
「半人前ね」
「半人前なので」
「それもそうね」
「とはいえ発音記号さえあれば言語に依存せずに表現できるから強い」
「話せればかけるようになるわけね。話せないと書けないけれど」
「弱い」
「安定しないわね」
「やはり表音表意混合の日本語システムがバランスが良くて良いのでは」
「母国語だからそう思うだけで外国語だってらどうせ面倒なことしてくれてどっちか一つに統一してくれってなるはずよ」
「なりそう」
「というか表意文字自体はエジプトのとか漢字系列以外のものもあったとおもうのだけれど、例えばエジプトの絵文字とアルファベットの表意表音混合システムとかって成立していたことはないのかしら」
「古代の例は分からないけど、手話とか?」
「ああ」
「ちなみに手話ですが、表音パートはもちろん表意パートも国ごとに全然違います」
「何でそうなるのよ」
「たぶんその国の言語をそのまま手話の単語に翻訳した」
「文法が違うだけで単語は同じってこと?」
「単語も違ったと思う」
「ダメダメね」
「こういう時はエスペラント語の手話を使おう」
「なさそう」
「確かに」
「うーん、文字関連は原始的なところだから全然合理性が見いだせないことも多いわね」
「そのせいでアルファベットはW以降の余計な四文字がギリシャ語から増えてしまったのです」
「だからギリシャ文字は22文字じゃなくて24文字よ」
「2文字ほどダミーが入っているのでは?」
「そんなものはないわよ」
「本当に? 例えばオメガって本当に読み方ある?」
「あれはアルファベットのOよ」
「見た目はWなのに?」
「誤差よ。母音のαから始まって母音のωで終わるのがギリシャ文字なのよ」
「アルファベットだとAからO……ん? ってことはギリシャ語のアルファベットはあいうえお表なのでは!?」
「残りの17文字どこ行ったのよ」
「SI接頭辞」
「いや、μはUでしょ」
「ギリシャ文字かと思ったらローマ文字」
とかいうアルファベットのコピー