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概念部屋《C-Room》  作者: トルネードおさげたん  トルネードG&T
シーズン01
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シーズン01 第065話 「テーブル不要論」

「電卓、全然机じゃないよね」

「机?」

「卓って机のことでしょ」

「ああ。あれは電子卓上計算機で略して電卓なのよ」

「そういわれてみればどこかで聞いたことがあるようなフレーズ」

「でしょ?」

「……いやおかしくない?」

「え?」

「卓上の計算機なんでしょ。卓ではないじゃん。伝書鳩を書って略すようなものじゃん」

「ことあるごとに鳩が例に出てくるわね」

「平和なので」

「鳩を唱えたからって平和になるシステムじゃないわよ」

「平和のためには私たち一人一人の努力が必要なんだね」

「それはいいのだけれど電卓は?」

「戦争」

「戦争じゃないでしょ」


「戦争はしないけど納得はいかない!」

「そもそも卓って机のことなのかしら」

「机でしょ? 卓上は机上と同じ意味のはずだし」

「でも卓球って机ボールかしら」

「あれはテーブルテニスの訳語だから、机ボールなんじゃない?」

「うーん、どちらかというと机って家具っぽいじゃない? 卓ってそれよりももう少し広い概念のような気がするのよね。卓球の机、とは言わないでしょ?」

「じゃああれは卓球の何?」

「台、かしら」

「じゃあ台形は」

「テーブルスクエア、かしら」

「トラペゾイドです」

「うっ」

「あとスクエアは正方形だから台形ではありません」

「うぐっ。……いや、正方形は台形だからこれはセーフよ!」

「おお」

「ふふふ、何とか持ち直したわ」


「要するに、机だけじゃなくて台も卓には含まれるってことか」

「なのかもしれない、ということね」

「でも結局卓上を台上に言い換えたところで電子台上計算機が電台になるのはおかしいでしょ」

「確かに、何か電波を出すタイプの中型機械みたいな名前ね」

「でしょ?」

「じゃあ逆に、電卓はどう略すのが正しいの?」

「それはもちろん、電算」

「なんか語呂が悪いわね」

「電算機」

「あー、いい略語なんだけどコンピューターのことなのよね」

「なぬ」

「ほら、コンピューターって日本語だと電子計算機っていうじゃない。だから電算機」

「じゃあ電機」

「もっとあいまいになってるわよ」

「間違ってはいないから」

「電気機械の略語として定着してるから駄目でしょう。電機屋さんとかあるし」

「電機屋さん?」

「知らない? 家電量販店ともいうわよ」

「電機屋の電機ってさ、電気そのものと電気機械と電気機器が混在してない?」

「そういわれれば」

「任意性がありすぎてもわけわからなくない」

「そうね」

「もういっそのこと電機は電卓にくれればよくない?」

「いや、それだと電機屋さんとしてやってるところが電卓しか売ってないみたいになっちゃうじゃない」

「そこまでカメラ売ってないカメラ屋と同じじゃない」

「あー」


「でもさ、なんだかんだ言って語呂的には最高なんだよね、電卓。慣れもあるだろうけど」

「確かにさっきから例示でも電卓電卓言ってるわね」

「ということで、ここは平和的に卓に計算するものみたいな意味を付けてしまうことで解決を図りたい」

「いや、完全に過激派でしょう」

「でもなんとか行けそうじゃない? 例えばそろばんって卓でしょ」

「卓?」

「というかテーブル」

「まあ、テーブルに見えなくもないわね」

「それに複雑な計算するときは机でやるでしょ?」

「おおむねそのとおりね」

「つまり言い換えると計算は卓上で卓を使ってやるわけだから、卓はもう計算機なのでは?」

「無理やり作った結論からよくそこまでの論理を構築できたわね」

「つまり、卓球は?」

「卓球は?」

「……なんだろう」

「残念でしたー」




 表計算ソフトを敷いた盤上で

   球を打ち合い計算をする

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