シーズン01 第054話 「tele線」
「電信柱って何?」
「え?」
「電信柱」
「何って言われても、電柱のことだけど……」
「電柱!」
「え?」
「いやあれ送電線でしょ? だから電線ならわかるんだけど」
「ああ、なるほどね。要するに電信って何ってこと?」
「れ!」
「それなら簡単な話よ。電信とはメールです!」
「ああ!」
「違うわよ」
「ええー……」
「電信は確か電気通信のことだったと思うのだけど」
「つまり電話?」
「よりももう少し前の技術ね」
「伝書鳩?」
「電気関係ないでしょう」
「電書鳩」
「電気の伝書鳩のつもりでしょうけど今度は鳩が不要」
「宗教上の理由」
「昔の技術だから宗教に配慮する余裕はないのよね、残念ながら」
「つまり今の技術なら電書鳩も可能?!」
「まず電書鳩って何」
「電気の力で書物を伝える鳩」
「鳩時計みたいな機械鳩の事?」
「いや、鳩が電気」
「要するに鳩がモチーフのメールソフトでしょうそれ」
「おお、確かに!」
「もっと言うと鳩SNSの可能性もあるわけで、それならもう実用化されてそうね」
「鳩時計が鳴いたときだけ投稿できるSNSだね」
「なぜそうなるのよ」
「ちなみに鳩はランダムに鳴きます」
「ROM専推奨がすぎる」
「鳴き続ける長さは時刻に依存する」
「夜更かし推奨SNSでもあるわけね」
「いや、1時になったら使いにくくなるので逆に早寝早起き推奨SNS」
「いや、10時には寝なさいよ」
「目標就寝時刻があるときは任意サマータイムシステムで1時間単位で時刻がずらせるよ!」
「常に11時になるように時刻を変え続ければいいのでは」
「確かに」
「ていうかそんな面倒なSNS誰も使わないわよ」
「閑古鳥SNSだね」
「……これは合格点」
「やったー!」
「で、電信はどうしたのよ」
「え? 鳩SNSが電信なんでしょ?」
「全然違うわよ」
「そんな馬鹿な」
「だいたいSNSなんて最近できたサービスでしょうに」
「昔は通信容量が足りないから投稿制限で容量が空いてるときに鳩が鳴くのかなとかサーバーが足りないから伝書鳩を電線に停めて小型サーバー代わりにしてたとかなとか色々考えたのに!」
「筋が良いんだか悪いんだかわからない発想力ね」
「あ、やっぱり鳩ってサーバーに使えるんだ」
「そっちがダメなのよそっちが」
「伝書鳩にサーバーを運んでもらって繋ぎ変えるとか」
「重すぎて運べないわよ」
「じゃあフロッピーディスク」
「物理的に重いって話をしてるの」
「フロッピーディスクは物理的にも軽いので神」
「データ的にも軽すぎるのよね」
「あれ現代の技術で作ったら」
「原理上改善は望めません」
「がっかり」
「で」
「要するに電信とはなんなのか」
「ということね」
「答えは?」
「モールス信号よ」
「ああ~」
「電気が通ったり通らなかったりするのがモールス信号で、それを送るのが電信」
「じゃあ電信柱は?」
「モールス信号を送るための柱よ」
「あれ、電線って電気を送ってるんじゃないの?」
「そうよ」
「モールス信号じゃないじゃん」
「ふふふ、モールス信号は電気が流れてるか流れてないかで信号を送るっていったわよね」
「はっ、そうか!」
「そう、つまり世界中に張り巡らされている電線は有事にはモールス信号ネットワークとして機能させられるのよ!」
「電柱が地中の磁気を乱してる」
――ダウジング工、廃業続く