シーズン01 第053話 「氷菓子」
「アイスの日本語訳って氷菓だよね」
「そんなことがパッケージに書いてあった気もするわね」
「氷菓の英訳って何なんだろう」
「アイスでしょ」
「いやいや、広いじゃん」
「こういうのって広くても仕方ないんじゃないの?」
「でも、アイスって元々日本になかったじゃん? ってことは外来語に漢字を当てたのが氷菓なはずだから対応する単語がありそうじゃない?」
「アイスクリーム」
「狭い」
「アイスキャンディー」
「それも狭い」
「アイスクリームとアイスキャンディー」
「まだ足りない」
「いや、もうないでしょ」
「アイスクリームって乳成分含有量で制限がかかってるんだよね」
「摂取量が?」
「アイスはカフェインではありません」
「アイスは嗜好品なのでチョコレートすなわちカフェインよ」
「あれ、チョコレートってカフェイン豆からできてるんだっけ」
「大体そんな感じね。だから一日に50グラム以上食べると流血沙汰になるわよ」
「チョコアイスは?」
「あー、それは考えてなかったわ」
「嘘かよ」
「嘘よ」
「つまりチョコレートは無限に食べてもよい」
「そういうわけではないけど」
「残念」
「で、結局何に制限がかかってるの?」
「表現形式です」
「アイスキャンディーがアイスクリームじゃないって話?」
「一歩踏み込んで抹茶アイスはアイスクリームじゃないかもしれないって話」
「じゃあなんなの? 凝固体?」
「アイス」
「アイスなのは知ってるわよ」
「だから、表記がアイスになったりする。あと氷菓も」
「アイスの部分集合にアイスがあるってこと?」
「そう。で、氷菓ですよ」
「あー、つまりアイスクリームとは言えないようなアイスに該当する英語があるかってことね」
「そうそう。ジュースに対する清涼飲料水みたいな」
「清涼飲料水って英語で何て言うの?」
「ソフトドリンク」
「なるほど。ありね」
「ありそうでしょ? 今思い付いたんだけど」
「やっぱりね」
「で、なんかない?」
「事実はともかくそれっぽいのが見つかればいいってスタンス?」
「スタンス」
「それなら私はアイスキャンディーを推すわ」
「狭くない?」
「英語のキャンディーって結構広かったはずよ。日本の菓子のように」
「なるほど、それで氷菓」
「の可能性もないとは言えないと思うわ」
「確かに、お菓子で和英辞典引くと訳語はキャンディーだった気がするし、これはもしかすると普通に正解なのかもしれない」
「あら。案外予想できるものね。ただ一つだけ気になるんだけど」
「というと?」
「かき氷ってあるわよね。あれもアイスに入るのかしら」
「ああ、あれは英語でカッキーといいます」
「さすがに嘘でしょ」
「半分本当です」
「半分?」
「カッキーは正しい呼び方の前半分です」
「それは半分本当とは言わないわよ」
「言ったが?」
「言うな!」
夏の日の屋台で食べるかき氷
原産国はタイらしいです