シーズン01 第050話 「電gen」
「火力発電所と地熱発電所って何が違うの?」
「火力よ」
「強いのは?」
「火力が?」
「総合力が」
「総合力かー」
「これからは総合力の時代だからね」
「それなら地熱じゃないかしら。火山エネルギーは事実上無限に湧いてくるもの」
「ということは無限に火山を噴火させたら世界は平和になるのでは」
「それはエネルギーが多すぎよ」
「なるほど、つまり人類はもっと貪欲にならなければならないと」
「制御の問題です」
「でもさ、自然エネルギーって何もしなければ常に捨て続けてるようなもんだし、可能な限り取り出したいところではあるよね」
「さっきの制御って意味だけじゃなくても、発電しすぎるとそれはそれで困ることになったりするのよね」
「というと?」
「供給過剰だと発電網自体が不安定になって落ちたりするらしいのよ。ほら、電気ってその場限りのものだから」
「干ばつも困るけど洪水も困るみたいな感じか」
「そうそう、まさにそういう感じよ。私も詳しくは知らないのだけれどね」
「ダムは?」
「電気は水と違って貯めにくいのよ。っていうかダムが溢れるから洪水なわけだし」
「やはり人類はもっと貪欲になるべきなのでは」
「洪水対策に水を飲めって言われても無理でしょうが」
「人間なら無理だけど、牛ならどうかな?」
「牛を何だと思ってるのよ」
「神」
「そうだったわね」
「まあ、そういう説があるというだけで支持しているわけではないのですが」
「そもそもそういう説を支持している人でも牛が洪水を飲み干してくれるとは思ってないわよ」
「だろうな!」
「何威張ってるのよ」
「あ、でも牛もバイオエネルギーになれるよ」
「牛車とか牛耕とかそういう話?」
「それもあるけど、牛糞がメタンガスになるから発電できるとかなんとか」
「本当? 温暖化の一因みたいなのは聞いたことあるけど発電までできたかしら」
「干したものを焚き火に入れると燃えるとのこと」
「薪炭材じゃない?」
「そうともいう」
「薪炭材で発電はできません」
「木炭自動車というのがかつてあってだな」
「残念ながら木炭自動車は電気自動車じゃないのよね」
「はっ、しまった!」
「と、いうことで、いろんなところにエネルギーは偏在しているのだけれど取り出すのも利用するのもそう簡単にはいかないのよ」
「でも牛はともかく、太陽エネルギーだけならまあ取り出せるよね」
「だから供給過剰で需要が足りてないのよ。夜になるとごっそり減ってしまうし」
「要するに、蓄電できればいいんでしょ?」
「できないわけではないけれど大型の充電池がないのよね」
「アルミニウムを作ればいいのでは?」
「何でアルミニウムなのよ」
「電気の缶詰」
「アルミニウムから電気を取り出すことはできません」
人力が丹精込めてゆっくりと
作る電気は波形がゴミカス