シーズン01 第005話 「覚醒エネルギー保存筒」
「ただいまー」
「おかえりなさい……って何よその大量のペットボトル」
「お風呂に行ってきた」
「それは格好を見ればわかるけれど」
「ので」
「ので?」
「まあ、後は言わなくてもわかるよね」
「わからないわよ」
「えー」
「えー、ではなく」
「いやほら、お風呂と言えばコーヒー牛乳じゃない?」
「つまりコーヒー牛乳を大量に買ってきたと」
「いや全然違うけど」
「なんなのよ」
「エナジーを買ってきた」
「話が全然抽象的な領域から出てこないわね」
「いや、この場合のエナジーは具体的な事物としてのエナジーですね」
「そういうところが抽象的なのよ」
「ほら、あれだよ、飲むエナジー」
「……なるほど、要するにエナジードリンクもといカフェイン飲料のことね」
「タウリンは?」
「1000mg配合」
「よろしい」
「でも私にとってのタウリンは暴力の代名詞ね」
「製薬会社は怒っても良いと思う」
「そうは言ってももともとタウリンってほとんど何でもないのよ。何もできないのに何かできそうなイメージを植え付けてもらったんだしむしろ感謝すべきだと思うわ」
「少なくとも疲労回復はあるんじゃないの?」
「そんなに疲労を回復したいなら角砂糖でも齧ってなさい」
「辛辣」
「実際その程度よ」
「エナジー飲み物にはタウリンも入ってるし砂糖も入ってる! はい論破!」
「結局要するにほとんどカフェイン効果なのよ」
「いやいやいや。そもそもカフェインとタウリン以外にももっといろいろ入ってるし!」
「炭酸は泡が出るから喉を刺激して眠気に効くのは確かね」
「ほら、そういうんじゃなくて!」
「じゃあ具体的に挙げてみなさい」
「ローヤルゼリー!」
「あれも何がローヤルなのよ王家って意味よローヤルって流石に大きく出すぎでしょう」
「女王蜂用のなんかあれするやつだからほら」
「蜂にとって有効だからと言って人間にとっても有効だと言い切れるのかしら」
「……じゃあ高麗ニンジン!」
「普通の人参とどう違うのよ」
「……アルギニン!!」
「何の効果があるのか説明できるかしら」
「ぐ、ぐぬぬ……でもタウリンは、少なくともタウリンだけは……!」
「というか今気づいたんだけど」
「ん?」
「あなたの買ってきたペットボトルタイプのエナジードリンクにはタウリンは入ってないわよ」
「……ぴえええ」
十五歳以下は服用できません
あと一日に一本までな