シーズン01 第004話 「二つのピースが揃うとき」
「ということで」
「何がということでなのよ唐突に」
「ハトが歩いてたんだけどさ」
「……で?」
「スズメだったんだよね」
「恐ろしく無意味なエラー報告ね」
「ははは、良かったなヒヤリハットで!」
「威張るな。反省しなさい」
「ぐぬぬ」
「というか間違えないでしょ普通ハトとスズメを」
「倒置法」
「倒置法になるレベルのミスなの」
「統治する?」
「どこを?」
「ハト王国」
「どこよ」
「ハトのいる王国だけど?」
「ハトの分布は世界中に広がってるからそれだけじゃ同定できないっていうか何で王国にハトがいるだけでその国のメインがハトになるのよ」
「ほら、ハトだし」
「ハトを過信しすぎよ」
「で、そのハトが」
「スズメじゃなかったの?」
「まあまあ」
「まあまあじゃないわよ」
「で、そのハトorスズメがやたら高速に羽ばたいてたんだけどあれどういう品種なのかなっていうのが本題です」
「ああ、たぶんそれはハチドリよ」
「ハチドリって?」
「二円よ」
「そんなに需要がない鳥がいるのか」
「違うわよ。体重の話」
「体重が二円?」
「そうそう、珍しいわよね」
「つまり体重を通貨代わりに商品取引を行っている鳥なのか」
「全然違うわよ」
「じゃあ……あ、肉の話か」
「いや、まあこれは私の言い方が悪かったわね。体重が2gの鳥なのよ」
「重力加速度の二倍?」
「グラム」
「今のはグラムをジーって発音したのが悪い」
「そういう気分だったのよ」
「結局ハチドリの商品価値はいくらだったんだ。やっぱり二円? 微小需要?」
「そんなことは無いと思うわ。火災現場とかでよく見かけるし」
「焼き鳥を?」
「火災現場で焼き鳥をするのはサイコパスか養鶏家だけよ」
「つまり焼鳥屋はサイコパス」
「怒られるわよ」
「自ら述べた現実を受け入れよ」
「私はそんなこと言ってません」
「だって焼き鳥屋は焼き鳥をするでしょ?」
「焼き鳥屋は火災現場じゃないわよ」
「煙出てるじゃん」
「煙が出たら何でも火事ってわけじゃないのよ」
「私はいいけど火災報知器が何て言うかな?」
「流石に今は改善されてるんじゃないかしらあの雑な火災判定」
「あれってドライアイスとかでも判定受けるのかな」
「いや別に色で判定しているわけではないと思うわよ。……でもドライアイスの煙も二酸化炭素よね」
「じゃあ液体窒素だとどうなるのか」
「まずは二酸化炭素の問題を解決しなさいよ」
「太陽光を得る」
「急にどうしたのよ」
「太陽光を得て発電や光合成を地道に続けていけば二酸化炭素問題は解決すると信じています」
「そっちじゃないわよ」
「じゃあ風車を回す?」
「いやだから温暖化の話はいまどうでもよくて」
「さてはアナーキストか!?」
「私は平和主義者よ」
「なるほどなるほど。ではこれを授けよう」
「何よこれは」
「オリーブオイル」
「ハトだけじゃできないこともあるんです」
「だからハトを過信しすぎよ」