シーズン01 第039話 「クールステュ」
「夏って明日からだよね」
「え?」
「服」
「ああ、なるほど。衣替えね」
「そうそう」
「確か明日からだったと思うわ。まあ強制じゃないんだけれど」
「最近暑いから一足早めに変えちゃってる人も結構いるし」
「忘れてたけど、せっかくだし私も明日から変えようかしら。えーと夏服は……普通にクローゼットにかかってるわね」
「この部屋物が少ないからね」
「これなら少し位置を変えるだけでしまう必要も……あ、でも二着しかないわね」
「夏は着替えが激しいからもうちょっとあった方がよさそう」
「そうね、明日買い足すことにするわ。ちなみに」
「五着あります」
「準備がいいわね」
「スカートが」
「それは多いわよ」
「ほら、この前制服買い足したことあったじゃん」
「着るものがなくなったとか言ってたときね」
「あの時に買ってきた五着のうち三着は夏服だったのです」
「まあ、さすがに冬服だけで七着はいらないわよね」
「冬シーズンも残り少しだったからねー」
「夏服も五着はいらないけれどね」
「在庫は倉庫に対して多い方が良いから」
「それは売るときの話でしょう」
「でもこれで汚し放題」
「ああうん、五着必要ね」
「別にわざとやってるわけじゃないから! たんに制服が普段着だからだから!」
「私もほぼ制服が普段着だけどそんなに汚さないわよ」
「インドア派だからじゃない?」
「あなたも別にアウトドアって程じゃないでしょう」
「いや毎日学校行ってるし」
「その定義でいくと世の中の学生の9割はアウトドア派になるわよ」
「よかったじゃんその中の1割なら希少価値だよ!」
「そもそも私だって毎日学校に行ってるわよ」
「なんだ、所詮マジョリティか」
「何なのよその謎のマウンティングは」
「アウトドア派なので」
「偏見」
「マウントは山」
「だから偏見」
「でもほら、これから梅雨だしさ、着替えさえあれば傘がないから帰れないー、とはならないじゃん」
「傘は差しなさいよ。風邪ひくわよ」
「いいえ。なぜなら優秀なので」
「夏風邪をひかないのはバカの方よ」
「計算通り。今の発言によってバカ枠にカウントされたので今年の夏は無敵」
「何の根拠もなく無敵とか言っちゃう当たりポイント高いわね」
「いもティップス」
「なるほど」
「昨日のアレがやばかった」
「おお」
「ポテトは野菜なのでイカリングも野菜」
「完璧ね」
「やったー!」
「でも梅雨っていうよりは食べ物で汚しそうよね。この前のカレーの件もあるし」
「カレーはでもこぼしにくいから。夏はむしろそばとかうどんとか」
「ビールかけとか」
「しないわよ。何で優勝するつもりよ」
「……運動会?」
「秋じゃないの」
「じゃあ何でビールかけすればいいんだ! 対案を出せ!」
「何でビールかけ前提になってるのよっていうか未成年はお酒は買えません」
「あ、それはコーラと触媒菓子でやるので大丈夫」
「べたべたになるわよ」
「あ、むしろ冬服今日までだし今が絶好のビールかけチャンスなのでは?」
「やらないわよ」
「えー」
「えー、じゃない」
「ええじゃない?」
「良くない」
「良くないか~」
六月に学期が終わる地域では
卒業式で酒を撒かない