シーズン01 第036話 「プレティーンたちの学舎で」
「双子葉植物って用語、日常じゃ絶対使わないわよね」
「そもそも子葉から使わない」
「枝葉末節」
「字が違うよ」
「枝か」
「あと読みは『まつせつ』じゃなくて『まっせつ』ね」
「それはどっちでもよくない?」
「ダメです。七夕はたなばたとしか読まないでしょ」
「七夕は特権階級なのよ」
「七夕原理主義者だ」
「何よ七夕原理主義者って」
「七夕を原理主義者的に信仰してる人」
「いまいち想像がつかないわね」
「例えば光の速さは14.5億光年/時間とする」
「ああうん、私は信仰してません」
「で、双子葉植物を飼いたいって話?」
「飼うわけじゃないわよ。ただ、双子葉植物って小学校で習うのにその後の使い道があんまりないなって」
「よく忘れがちだけど私たちまだ小学校卒業してから二ヶ月だからね」
「うわ」
「うわ、ではない」
「いいのよ、知識としてはもうちょっと進んでるんだから」
「で、その豊富な知識のなかで最近双子葉植物にお目見えしてないと」
「そういうわけでもないのよ。分類学では出てくるわ」
「じゃあいいじゃん」
「いい気がしてきた」
「何なんだ」
「分類学のことを完全に忘れてたのよ」
「小学校からやり直し!」
「二ヶ月前だから多目に見てよ」
「都合よく過去を解釈するな」
「まあ、双子葉植物は例が悪かったとしても、小学校特有の知識みたいなのってあるじゃない」
「ないと思うけどなー」
「そうかしら」
「例えば?」
「有名所で言えばデシリットルとかね」
「あれはSI接頭辞を可能な限り紹介するための苦肉の策と見た」
「デシってそんなに使う?」
「デシベル」
「確かに」
「以上」
「ってあれ」
「SI接頭辞、キロデシセンチミリ以外は基本的にデータ容量で覚えるよね」
「上はそうね」
「下は知りません。何故なら私が覚えてないから」
「覚えなさい」
「ギリシャ語読めない」
「それはちょっと分かるわ」
「あ、ヘクタールが100エールなのは知ってる」
「上じゃないの」
「本当だ」
「っていうかヘクトはヘクトパスカルで覚えることの方が多くない?」
「あ、ヘクトパスカルもパスカルの100倍なのか」
「そうよ。1000ヘクトパスカルは10万パスカルね」
「……ん? 100キロパスカルでよくない?」
「一般人は小数がわからないから有効桁の最後の一桁まで整数で表せるヘクトパスカルが重宝されるのよ」
「平民無能」
「あとニュースとかで整数の方が読みやすいんじゃない?」
「うん、そっちだね」
「確かに、こうしてみると小学校も捨てたものじゃないわね」
「りんご算とかは方程式でいい気もするけどね」
「前もいったけど鶴亀算よ」
「あ、双子葉植物って確か最初に生えてくる葉っぱが二枚ってことだったよね」
「そうね」
「ということは、双子葉植物かどうかで新しいりんご算が作れるのでは?!」
「双子葉植物の対義語は単子葉植物で、式にすると2x+yだからちょっとね」
「手厳しい」
鶴亀算難度調整目的で
開発されたのがドードリオ