シーズン01 第033話 「車マネジメント」
「踏切って何を踏んでるのかしら」
「歩行者」
「それは事故でしょ」
「じゃあ歩行者が踏んでる」
「それなら横断歩道も踏切ということになるわね」
「まあ電車も自動車も車だからね」
「でも横断歩道は踏切じゃないわよね」
「あ、そうか。横断歩道は切ってないからか」
「そもそも踏切は何を切ってるのよ」
「歩行者」
「だから」
「正確には歩行者の列だね。あと自動車列」
「列?」
「というか流れ」
「ああ、遮断機で流れが切られるって話ね」
「そそ」
「でも歩行者の流れなら横断歩道でも切られるわよね」
「だから断って入ってるじゃん」
「それは文脈が違うでしょ」
「ばれたか」
「そもそも、横断歩道にも遮断機をつければいいのよ。それなら自動車事故も鉄道事故並みに減るはずよ」
「自動車はバカなので自動車同士でぶつかるんですねこれが」
「そんなことないでしょうに」
「何だ! 電車がバカだって言うのか!」
「物は言いようね」
「まあ多分レールがあるかどうかの差なんだけどね」
「線路なしで鉄道を運転するのは至難の技ね」
「つまり路面電車は最強」
「あれは道路に線路があるのよ」
「路面電車はカス」
「極端にも程があるわよ」
「路面電車の線路が通ってる道路を横断する場所には横断歩道があるのか踏切があるのか」
「確かに。気になるわね」
「踏切だとしたら、十字路なら路面電車が通ってるのと平行に遮断機が降りて垂直ラインは踏切と信号機の二重統治を受けることになるな」
「それはちょっと考えにくいわね」
「かといって横断歩道ということなら全体が信号機制御だから路面電車も道路状況の都合で動きを止められることになる」
「気を付けて 電車は急には止まれない」
「でしょ?」
「徐行すれば止まれるわよ」
「価値なしの実じゃん」
「え?」
「すみません……」
「思ったより難しいわね、路面電車」
「もはやすべての道路を踏切制御にしてしまえば良いのでは。横断歩道だけでなく」
「でしょ?」
「そうすればいくら自動車がバカでも事故が減るはず」
「自動車に家族を殺された訳ではないわよね」
「ええ、実は。全然そんなことありません」
「紛らわしい言い方しないでよビックリしたじゃない」
「ただ、自動車の筆記試験に落ちた」
「一応聞くけど、いつの話よ」
「去年」
「年齢制限!」
「鉄道を地上に通す奴はバカ」
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