シーズン01 第029話 「二次エネルギー」
「汽車は蒸気力を使ってるから汽車、電車は電気力を使ってるから電車。ということは、リニアモーターカーは磁車?」
「その理論で行くと自動車も汽車になるわね」
「え、あれ蒸気力なの?」
「そうよ。だって石油使ってるじゃない」
「汽車って石油だっけ?」
「あれは石炭だけど、石炭なんてほぼ石油じゃない」
「そう?」
「そうよ。石油はほぼ石炭だし、石炭はほぼ天然ガスよ。単に固体か液体か気体かの違いでしかないわ」
「エネルギー効率は石炭石油天然ガスの順に良い……ということはプラズマでできている第四の化石燃料がどこかに」
「ウランの核分裂によって発生する放射性エネルギー」
「ウランは化石じゃないでしょ」
「でも、そういわれてみれば石炭や石油で動いてる車両はあっても天然ガスで動いてる車両はないわね」
「水素の自動車ってなかったっけ?」
「水素は天然ガスではありません」
「じゃあ何然ガスなんだ!」
「可燃ガス」
「負けました……」
「ふふん」
「となるとやっぱり天然ガス自動車は……いや、ある!」
「というと」
「バイオマス」
「なるほど」
「やったー」
「……と思ったけど冷静に考えたらあれガスじゃなくて液体よね」
「ああ~」
「そもそも気体より液体や個体の方が粒子密度が濃いから運ぶなら可能な限り液体か個体にしたいのよ」
「つまりキャンプにガスボンベ持ってくるやつはバカ」
「あのぐらいの量なら良いの」
「時代は木炭」
「木炭なら現地調達すればいいじゃない」
「キャンプはサバイバルじゃないんだぞ」
「そうか、斧がないのね」
「そういう問題ではなく」
「じゃあどういう問題よ」
「砂漠でキャンプをするとサボテンしか現地調達できない」
「確かに」
「ていうか木炭持ってかなくてもキャンプには普通は自動車で行くんだからガソリン使えば良いじゃん」
「趣ゼロね」
「てもサバイバルっぽくない?」
「そういわれると心が揺らいでくるわね」
「自然を大切に! キャンプファイアーはその辺の木を切らずにガソリンを燃やす!」
「それはただの放火よ」
「じゃあその辺の木にガソリンをかけて燃やす!」
「状況が悪化してる」
「じゃあガソリンじゃなくてバイオマスにすれば解決」
「しません」
「えー」
「やっぱり蒸気力はダメね。これからは電力の時代よ!」
「1900年代初頭みたいなこと言ってる」
「真理は時代に依らず普遍なのよ!」
「じゃあ電気力を使ってキャンプを楽しむにはどうすれば良いの?」
「それは、寝台列車よ!」
「キャンプですらなくなった」
乗客の治安が悪い列車旅
サバイバルゆえ実質キャンプ