シーズン01 第028話 「文字と言語とオーパーツ」
「はがね、metalっぽいんだけどironなんだよね」
「正確にはironよりもっと狭いわよ」
「は~~~~?? 器小さ過ぎない~~~~~~???」
「専門用語に器を求めるな」
「でも鋼って訓読みだから大和詞じゃん。大和詞は日常語では?」
「昔から専門的な金属加工業者はいたっていう心あたたまる話ね」
「いません」
「オーパーツを信じなさい」
「オーパーツすら出土してませんけど?!」
「何いってるの。オーパーツは、作るものよ!」
「すごい、全然信用してない」
「和風オーパーツって全然ないの?」
「オブジェクト的なやつは聞いたことないけど、神代文字っていうのはあるよ」
「残念ながら文字には興味ないわ」
「えー」
「せめてその神代文字とやらでプログラミング言語が実装されたら考えてやらないこともないわね」
「面白そう」
「でも読み方がわからないからキーボードから入力できない」
「使えなそう」
「オーパーツは使えないのが正しい」
「確かに」
「変な文字でプログラムを書くの、楽しそうじゃない?」
「例えば?」
「私は文字に詳しくないから何か挙げて」
「線文字A」
「1000文字は多い」
「線文字Aって名前の文字なの」
「だから文字が1000種類あるのはダメよ。これだから古代の洗練されてない奴らは困るのよね」
「漢字は1000文字以上平気であるが?」
「あれは……漢だから良いのよ」
「謎理論」
「とにかく! 他は?」
「じゃあ、インダス文字」
「インダスってことは工業化時代の識字率が低い労働者が情報共有のために独自に編み出した文字かしら。胸が高鳴るわね」
「インダスはインダストリアルではなくインドの事です」
「何よ!」
「残念~」
「あれ、じゃあインドってインダストリーと語源が」
「同じではありません」
「夢がないわね」
「でもインダス文字、シンプルだし解読されてないし、結構アリじゃない?」
「悪くないわね。あとはアルファベットと対応付けすれば既存のプログラムをインダス文字で書いたことにできるわね」
「あ、でも文字数多いかも」
「はいおしまい。絵文字は携帯電話に帰りなさい」
「漢字も絵文字」
「……良いの、漢だから」
「もしかして漢をジェンダーにおける男性的って意味で使ってる?」
「違うけど」
「無教養!」
「急に怒り出すんじゃないわよ」
「そうはいってもよくよく考えてみるとインダストリーのインダス文字も面白そう」
「でも違うんでしょ」
「オーパーツはなかったら作るんじゃなかったの?」
「……そうね。大切なことを忘れていたわ」
「よし、二人でインダス文字を作るぞー!」
「おー!」
「まずは労働者ってことで機械を表す文字から」
「って何表意文字にしようとしてるのよ」
「だって学がなかったら表音文字とか理解できなそうだし」
「学がなかったら表意文字は覚えきれないわよ」
「うーん……」
「……」
「……数字だけにするか」
「そうね」
「あと!と?だけ」
「そのぐらいがちょうど良さそうね」
学がない18世紀労働者
インダストリの意味知らなそう