シーズン01 第027話 「輝きの結晶体」
「氷砂糖が許されるならダイヤモンドは氷カーボンじゃないかしら」
「なんか美味しそう」
「食べられ……ないと思うけれど」
「炭素でしょ? 燃やしたら無害では?」
「燃やしたら無害なものは何でも食べられる訳じゃないのよ。紙とか」
「食べられる紙があったら便利だよね」
「全く利便性がわからないのだけれど」
「コピー用紙がいざというときに保存食になるので災害に強くなれる」
「素直に食料を備蓄しなさいよ」
「そういえば、乾パンにも入ってるよね、氷砂糖」
「パンの中に氷砂糖……?」
「もしかして乾パン見たことない?」
「知ってるわよ、乾いてるパンでしょ。要するに食パンの干物ね!」
「見たことないね」
「はい」
「固形クッキーって感じのやつなんだけど、水分が少ないから長持ちする、そんな食品です」
「それで災害用なのね」
「普通にも売ってるよ。お菓子売り場とかかな」
「へー、気づかなかったわ。美味しいの?」
「別に」
「あらら」
「でもお手軽に貧民ごっこができるアイテムとして優秀」
「そんな性格が破綻した人間しかやらないごっこ遊びは需要には繋がりません」
「でもほら貧民とか言う名前のゲームあるじゃん。トランプの」
「大貧民ね」
「ほら! そっちの方がもっと性格悪いだろ! 大だぞ大!」
「大富豪とも呼ぶからセーフよ」
「なるほど、上層階級が遊ぶときは大富豪、下層階級が遊ぶときは大貧民と使い分けるわけか。階級判別用ゲームね」
「発想が苛烈すぎる。普通に地域差よ」
「私は地域によって階級が異なるとまでは言ってないぞ!」
「私もそんなことはいってないわよ!」
「うむ」
「うむじゃないわよ」
「つまりあれだな、上層階級が持ってるダイヤモンドがダイヤモンド、下層階急が持ってるダイヤモンドが氷カーボン」
「そろそろ革命家に刺されるわよ」
「でも氷カーボンの夏スイーツっぽさも捨てがたい」
「涼しげではあるわね。氷って字が入ってるからだけど」
「あ、そうか!」
「何よ」
「お酒とかにさ、金箔が入ってるやつとかあるじゃん?」
「あるわね」
「あれって結構高いでしょ?」
「それは金だもの。飲んじゃうのもちょっともったいない気がするわね」
「そんな感じで、上層階級にとっての氷カーボンはアイスクリームの上に乗ってるやつなんだよ! 粒々みたいな感じでバニラアイスの上に氷カーボンが散りばめられてて、涼しげな感じとダイヤモンドの固さを味わうの! もちろん値段も高くなるからこれなら氷カーボンって名前でも上層階級が利用して恥ずかしくない感じになるし! どう? どう???」
「ひとつ致命的なことを見落としてるようだけれど」
「なに?」
「氷カーボンは私の造語」
夏風の熱き想いに誘われて
氷カーボン、はじまりました。