シーズン01 第022話 「赤と白の縁起物」
「長期休暇が今日で終わるので」
「そうね」
「今日は白ゴマを撒こう」
「は?」
「縁起物なので」
「そうだっけ?」
「そうです」
「で、仮にそうだとして何で撒くの?」
「今後の安息を祈念して」
「はあ」
「そういう行事」
「……さては今作ったでしょ」
「いや、昨日スーパーでゴマを売ってるのを見つけた時に作った」
「結局自作じゃないの」
「さてどうする? 今ここで白ゴマを撒かなければこのゴマは寂しく家に取り残されることになるが?」
「そういえば昨日ふりかけ買おうとして忘れたって言ってたわよね」
「んー? んんー??」
「要するに、ふりかけの代わりにゴマを買ってみたものの、食べてみたけどあんまり味がなかったから処理に困ってると」
「はい……」
「お赤飯を炊きましょう」
「小関……飯? 小関ってどこだっけ」
「赤飯よ。赤いごはん」
「不吉だ」
「そういう感じの赤さじゃないわよ。むしろおめでたいのよ」
「不吉がオーバーフローしてすごい縁起物になったみたいな感じか」
「違うけどまあそれでいいわ。要するに縁起物だから、ゴマを撒かなくても今後の安息を祈念することはできるわ」
「でもゴマが消費できないじゃん」
「ふふふふ。一般的なお赤飯には、ゴマを載せるものなのよ!」
「なんと!」
「とはいうものの、炊いたとして保存ができないのよね。この家冷蔵庫ないし」
「食べつくせば良いのでは?」
「だって今日の夜もう一度焼き肉なんでしょ。チケットが余ってるから」
「そうだった」
「おにぎりにして今日と明日の昼ご飯にすれば一日ぐらいだから……」
「というか電子レンジで2分間温めると食べられるタイプの赤飯を買えば良いのでは?」
「縁起的にそれはどうなのよ」
「現代の技術により縁起保存率驚異の99.99%を達成!」
「聞いたことないわよ」
「これであなたも幸運に!」
「あれ基本非常食だからそういうキャッチコピーはつかないわよ」
「ということでどうでしょうレトルト赤飯」
「べつにあなたがいいならいいけれど、そもそもあなた電子レンジ使えないじゃない」
「使えます! カレーが爆発したのは偶然!」
「で?」
「へ?」
「そのまま温めるの?」
「違うの?」
「蓋に中の半分開けろって書いてあるでしょ! 密閉したものを温めると爆発するのよ!」
「ひい~」
「まったく、ついてきて正解だったわ」
「ちなみに即席みそ汁を温める場合はどうすればいいんでしょう」
「あれはお湯を注ぐだけだから電子レンジの出る幕はないわよ」
「なるほどなるほど~」
「ところで肝心の白ゴマは?」
「はいこれ」
「……瓶じゃなくて、袋で買ったわけね」
「袋で買いました」
「これは……ゴマスープかしらね」
「味付きのゴマふりかけが売ってない
商店はカス」「ゴマ塩を買え」