シーズン01 第002話 「標準おそうじトラブル」
「あんかけパン焼きそば」
「食べるときに手がべとべとになるじゃない。っていうか何よそれ」
「今マイブームなんだ」
「作ったの?」
「いや、語感が」
「一刻も早くすたれてほしいブームね」
「灰になれー!」
「……?」
「灰を投げるポーズです」
「伝わるわけがないでしょう」
「認知能力が低すぎる」
「絶対灰を投げるポーズを認識できる方が認知能力に問題があるわよ」
「日常で灰を投げない? 普通に暮らしてるのに?」
「あなたはどこで暮らしてるのよ」
「ここだけど」
「知ってるわよ」
「えへへー」
「そもそも、灰になれは灰を投げるんじゃなくて火を誘引するときのセリフじゃないの」
「ほら、引火したら危ないから」
「氷ぶつけるわよ」
「メタンハイドレートかき氷!」
「絶対食べられないわね」
「それは機械人に対する冒涜では?」
「残念ながら機械人は実在しません」
「この場で実在を語ることほど信用できないこともそうそうないと思うんだけど」
「普段から適当なことを言いすぎなのよ。お互いにだけれど」
「そう、こうもっと適をね、むき出しにすべきなんじゃないかと思いますよ」
「それは敵意よ」
「アグレッシブな発想ばかりするからそういうことになるんだ! もう戦争は終わったんだぞ! これからは平和に生きて良い時代なんだ! 大丈夫、絶対に大丈夫!」
「むしろあなたが大丈夫なのかどうかが心配だわ」
「いや、私は官僚ではないですね」
「は?」
「大夫」
「要するに豪農ね」
「ところがどっこい豪農でもないんですよ~」
「なによその長音馬鹿にしてるでしょベビースターラーメン投げつけるわよ」
「お掃除事案だ」
「灰を投げるよりはましよ」
「いや、灰はおそうじロボ事案だから」
「なに勝ち誇ってるのよ」
「ロボは強いので」
「現時点ではおそうじロボよりお掃除の方が強い気がするけれど」
「案件は負荷だから強さに対してマイナスの値を取るのでは?」
「はっ、しまった」
「ということで今日のお掃除は頼んだ!」
「何よ今日のお掃除って。その辺は全部いない間にやってもらえるんじゃなかったの?」
「一日に一回はね」
「じゃあ良いじゃないのよ」
「ここを見てください」
「……べたべたになってるわね」
「さっきコーラをこぼしました」
「自分で掃除しなさい!」
「え~~~~~」
「だから何よその長音ベビースターラーメン投げるわよどうせ掃除するんだから」
「じゃあバケツ持ってきて外から。雑巾は確かあったから」
「まったく、仕方ないわね」
「……で?」
「水を被りました」
「風呂場の回転方向を間違えたわけね」
「間違えたというか、これ」
「これは?」
「蛇口」
「……ということは?」
「暮らしを安心させる事案、かな」
別にさあ、電話がすごいんじゃなくてさあ
安心するにはお金がいるじゃん?