シーズン02 第073話 「豪雨、そして心」
「ハートフル豪雨もあると思うんだよね」
「傷だらけの?」
「uのハートフルじゃん」
「豪雨なんだから普通はuよ」
「そもそもuのハートフルとかいう英単語って実在するの?」
「意味が通じてるならそういう単語が成立しているとみなせるんじゃないかしら」
「日本語かもしれない」
「アルファベット表記なのに?」
「アルファベット表記の日本語があっても良い」
「例えば?」
「NEET」
「カタカナじゃないかしら」
「いや、NEETのカタカナ表記は漢字表記単語におけるひらがなだから」
「そういわれてみるとそんな気もしてくわね」
「そもそも雨で傷はつかない!」
「それは強者だけの理論よ」
「そうかもしれない」
「いわるゆ鋼メンタルね」
「あ、こころの話?」
「雨といえば心でしょう」
「天気だが」
「身も蓋も無いわね」
「そもそも鋼の心はむしろ錆びるのでは」
「なんとなく詩的だけれどもそこまで汲み取った比喩かどうかはわからないわね」
「酸化鉄の心」
「闇落ちかしら」
「赤い酸化鉄と黒い酸化鉄、どっちが闇落ちでしょうか!」
「鉄の性質的には圧倒的に赤だけれど、色のイメージは黒よね」
「つまり?」
「比喩、成立ならず」
「残念。もうちょっと頑張ったら成立しそうだけど」
「雨の中あんまりに頑張りたくないわね」
「カニの加算器、カニアダー」
「何?」
「この件はまた今度」
「いや何よ」
「まあ、傷じゃなくて、心あるハートフルな豪雨もあると思うんですよ」
「最初に建ち戻ったけどなんなのよそれ」
「雨によって満たされる心もある」
「水位じゃないかしらそれ」
「心水位説」
「また比喩の世界に近づいてきたわね」
「ということで現実世界に帰ると」
「帰ると?」
「外の豪雨が気になるので田んぼの様子」
「いいえ」
「はい」
「そもそも田んぼはないわよ」
「田んぼ以外は?」
「あったりなかったりするわね」
「じゃあ、田んぼ以外の様子を見に行きます」
「はいだったりいいえだったりするわね」
「玉虫色だ」
「玉虫ついでに虹が出たら私も行こうかしら」
「ハートフル豪雨以外だ」
スコールがゲリラ豪雨じゃない理由
未だに何も説明ないな




