シーズン02 第071話 「わるいポッキーの日」
「一月は悪いの?」
「え?」
「一月」
「一月はわかるわよ」
「本当に?」
「本当にって何よ」
「あなたは本当の一月を知っているか。まだ一月は来ていないのだぞ」
「二ヶ月後に来るのは確かだけれど十ヶ月前にも来たわよ」
「二ヶ月後に来ない可能性もある」
「ありません」
「例えば暦が旧にイスラム暦に」
「あったわね」
「で、一月とは良いものなのか」
「それは個々人の主観と生活に依るわよ」
「じゃなかった。悪いものなのな」
「ネガポジ反転しただけで同義よね」
「違うんですねこれが。ところでネガポジ反転って写真の現像っぽさがあるよね」
「ネガに引っ張られてるんじゃないかしら。フィルム写真のネガ」
「よくわかってないんだけどあのネガってフィルムそのものなの?」
「どうなのかしら。フィルムを切断したものなのかもしれないわね」
「どうしてそんな酷いことを」
「現像するためよ」
「個人情報保護とかじゃないのか」
「切断するというのはズタズタに切ることを言っているのではありません」
「タズタズに切る?」
「古語っぽい発音だけれどそんな単語はないわよね」
「無いなら作るが現代人のモットーなのではないか」
「じゃあどういう意味よ」
「訪ねるの字を使って、訪々に切る」
「せっかく訪問したのに何で切るのよ」
「……お礼参り?」
「なかなか」バイオレンスな用語」
「ということで悪い一月に戻りますが」
「全然話が見えてこないわね」
「今は十一月ですね?」
「はい」
「十一月は良いですね?」
「十一月に対する私の理解は一月に対する理解とそれほど変わらないわよ」
「あれ、生年月日いつだっけ。一月と十一月は迎えた回数同じ?」
「だいたい六回以上迎えたら各月の特徴ぐらいわかるようになるわよ」
「傲慢の罪で後で怒られるやつじゃん」
「誰から?」
「超自然」
「的現象?」
「的あれこれ」
「巨大災害とかかしら」
「それは自然的現象」
「現代語の超には強調の意味もあるんじゃないかしら」
「現代語の超には強調の意味もあるが、超自然的現象の超には強調の意味はない」
「難しいわね」
「言語は文脈によるので」
「それはそれとして、巨大災害とかって人間の認知を超えるものであるとすればそれはもはや超自然的現象なんじゃないかしら」
「それは一理ある」
「結局悪い一月の話はわからずじまいね」
「そういう日もある」
「話を振ったあなたはわかってるんでしょう?」
「それがわからないから聞いたんですよ」「完全におしまいね」
「そういう月もある」
「少なくとも一月は存在するわね」
「それはよかった」
「そういうことで、今のところは良いんじゃないかしら」
「うむ。ということで残りの良い十一月も過ごしていきましょう」
「……あーーーーーー!!!!」
霜月の霜って柱な訳ですし
あれも十一日にやらない?