シーズン02 第068話 「いろんな馬乗り」
「馬の地下鉄という可能性について考えてみたい」
「何よそれ」
「馬が地下を走る!」
「どうしてそんなことを」
「……競馬?」
「競馬場って地下なの?」
「風雨の影響を受けると結果が変わるので地下のほうが良いとされてるんじゃない? これは完全な想像です」
「でも人間が走る場所って屋外よね」
「人間は風雨の影響を受けないので」
「そんなわけないでしょ」
「実は多くの人間は風雨の影響を多少なりとも受ける部分があるのだが風雨の影響を受ける人間は弱いという扱いを受けるので競技会から追放されるシステムになっている。これも完全な想像です」
「協議会に対する印象が悪すぎる。っていうかそれは馬にとっても同じじゃいけないのかしら」
「競馬はほら、お金がかかってるから」
「人間を保護するために一刻も早く競人にも懸賞金をかけるべきね」
「まあ競馬ではないのですが」
「でしょうね」
「ほら、まず馬車を機械化したものが自動車じゃん?」
「ああ、言われてみればそうね。馬力とかいう力の単位もある事だし」
「で、馬を機械化したのが電車」
「何で?」
「自動車と電車だと電車のほうが早い。そして馬車と馬だと馬のほうが早い」
「馬と馬車はともかく、自動車と鉄道は物によるでしょう」
「さらに、駅とはもともと漢字からもわかるように馬のなんか補給的なやつをするための場所だったが、今は鉄道の泊まる場所が駅という語に割り当てられている」
「馬の補給は馬車でもするでしょう」
「長距離移動って馬車でやる? 早馬に乗って長距離移動して駅で馬チェンジとかが主な用途じゃない?」
「隊商とかは長距離移動するんじゃないかしら」
「あれはラクダ」
「砂漠の隊商はそうかもしれないけれど、温帯でラクダは使わないわよ」「温帯に隊商はいない」
「そんなことないでしょ」
「でも駅といえば馬だし駅といえば電車だとは思うんだけどなー」
「そもそも馬が駆け巡ってたのは道なわけで、駅じゃなくて道に注目すれば馬は自動車に近いということになるんじゃないかしら」
「電車の線路も路なので道」
「若干苦しいわね」
「あと路面電車とかもある」
「そういうことなら駅にも道の駅があるわよ」
「つまり電車は路の駅」
「字義を見ると言ってることが同じなってしまうわね」
「ということで馬の地下鉄という話に戻りますが」
「今までの話結局前提知識の共有になってたかしら」
「鉄道といえば地上鉄道で馬に対応する。では地下鉄道は何に対応するかという話」
「馬の中で?」
「馬の中で」
「そもそも馬を交通手段に用いていた時期に地下を使おうという話にはならないんじゃないかしら」
「そういわれてみるとなぜ鉄道を地下に埋める必要があったのか」
「地上が混雑してるからじゃないかしら。線路つくると結構場所とるもの」
「線路の上に建物を建てれば良いのでは?」
「土地利用という観点ならそういうやり方もありかもしれないけれど、鉄道事業者の用地獲得が面倒、みたいな話なんじゃないかしら」
「つまり馬の何かの用地獲得が面倒になって地下に何かをした場合、それが馬の地下鉄に?」
「やっぱり競馬場の地下隔離じゃないかしら。うるさいし」
「競馬場だった!」
純粋に馬を機械化したものは
実は自転車なのではないか