シーズン02 第064話 「内燃機関に付随する梯子およびそれに類するもの」
「はしご車じゃない可能性は考えられないだろうか」
「はしごを積んでるけどはしご車じゃない車?」
「それは引っ越しのトラックとかだね」
「引っ越しのトラックがはしごを積んでる場合、それは引っ越す家の持ち物ということだけれど、新居にはしごを持ってく家ってそうそうあるかしら」
「高いところのものをとるための三段ぐらいのやつ」
「脚立ね」
「脚立もはしご」
「あれは椅子よ」
「少なくとも椅子ではないが」
「あら? そうね。何でかしら」
「椅子と脚立の漢字が似てる」
「似てないわよ」
「あれー?」
「発音は似てるかしら」
「そうでもない」
「微妙なところね」
「あ! わかった!」
「どうぞ」
「こたつ!」
「音も漢字も似てるけど、椅子と間違える理由にはならなくないかしら」
「ぐむむ、この件は迷宮入りということで」
「っていうか冷静に考えてみたら炬燵の字に立つの立の時はなかったわ」
「完全におしまいだ」
「というか脚立って家で使うかしら。主に図書館とかで使うイメージなのだけれど」
「家でも使うんじゃない? 上の方の収納をとるときとか」
「人間が取れない位置に収納を作るのは建築デザイナーの敗北よ」
「この家にもあるでしょ」
「だから、なにも入ってないじゃない」
「あまり使わないものとかなら別に良いんじゃないかと思うけど」
「例えば?」
「……スライムプール?」
「むしろいつ使うのよ」
「ビニールプールか」
「何でビニールがスライムになったのかしらね」
「ビニールプールが使われてるのを見るのがスライムプールであることが多かったため」
「謎広告による国民の認知に対する攻撃ね」
「そもそもスライムを売る広告ってなに」
「あれ多分スライムを売ってるわけではないはずよ」
「じゃああのスライムはどこから」
「売り場」
「ほら」
「広告の主題はスライム売りではないのよ」
「じゃあ何を売ってるんだ」
「夢とかかしら」
「スライムは夢」
「そういう解釈もあるわね」
「いつの間にかスライムを脚立に塗る話になってしまった」
「なってないわよ。何その危ないの」
「戦国時代の拠点防衛戦術の一つ」
「戦国時代にスライムはない」
「忍者とかが持ってるんじゃ?」
「いいえ」
「いいえかー」
「ということで真の話題は脚立……ですらなくはしごね」
「はしご車!」
「結局はしご車じゃないやつは引っ越しのトラックということで良いのかしら」
「いや、はしご車以外に高地の人間を回収する術はないのなという話」
「一度もしたことない話題がでてきたわね」
「やはり解決策はスライム車なのではないか」
「どうしてよ」
「クッションとして飛び降りてもらう」
「普通にクッションを使う方法が既にあるわよ」
「そしてスライムなら消火にも使える!」
「ポンプが詰まるので無理ね」
「放出先で水と粉を混ぜてスライムにすれば良い」
「水だけで良いでしょ」
「完璧な正解だ」
はしご車を選挙流用したとして
秒で解散させられた党




