シーズン02 第062話 「主要炭水化物収入源複雑化問題」
「主食って意外にまどろっこしい物が多いわよね」
「まどろっこしいって?」
「ほら、小麦はパンとかうどんにしないといけないし、米は炊かないといけないじゃない」
「パンはともかく米はそうでもなくない?」
「他の野菜とかに比べたら、煮るだけじゃなくて加減をみて炊かないといけないのってそこそこ手間がかかるわよね」
「『始めちょろちょろ中ぱっぱ』とかいうの、確かにやってられないと言えばやってられない」
「そういえばそれ、中間工程までしか示されてないわよね。その後ってないのかしら」
「『赤子泣いても蓋とるな』だったはず」
「火はどうしたのよ」
「消した」
「単純明快ね」
「料理は単純明快なほど美しい」
「誰の言葉?」
「私」
「はーい」
「他に主食っていうと、トウモロコシとか大豆とかかな?」
「それは主食というより穀物ね」
「大豆は主食にはしないか。でもトウモロコシはするんじゃない?」
「主食のトウモロコシってどうやって食べるのかしら」
「乾かして水分を抜いて……あれ?」
「それは家畜用じゃないかしら」
「そうだった」
「トウモロコシもやっぱり主食どは違うんじゃないかしら」
「あ、コーンフレーク!」
「あれってトウモロコシなの?」
「コーン」
「言われてみれば!」
「でもコーンフレークってどうやって作ってるのか知らないんだけど。知ってる?」
「私も考えたことなかったわね。でもぱっと見は煎餅みたいな感じだし、煎餅みたいに焼いてるんじゃないかしら」
「煎餅か~?」
「一番近いのは煎餅じゃない」
「クッキーでは?」
「それは……等距離よ」
「等距離」
「米にとっての煎餅が小麦にとってのクッキーでトウモロコシにとってはそこはコーンフレークになるのよ」
「オートミールは?」
「実物を見たことがないからあまりよく知らないのだけれど、オートミールって何なの?」
「知らない」
「流れね」
「流れだね」
「けど、これでトウモロコシも面倒な主食に分類されることは確実ね」
「あとは……キャッサバとかタロイモとか」
「熱帯地方で食べられてる主食ね。芋なんだからふかすだけじゃないの?」
「確か餅みたいにしてたはず。あ、でもジャガイモ!」
「ジャガイモ? あれは寒冷地じゃなかったかしら」
「アイルランドとか北ドイツはジャガイモが主食だったりすることもあるけど、ジャガイモはふかすだけ!」
「なるほど! 主食なら全部が全部まどろっこしいわけでもないのね」
「でもジャガイモはアメリカ大陸原産のものが近世になってヨーロッパに入ってきて寒冷地で主食化したものだから、文明の始まりからずっと使われてる主食はまどろっこしいってことなのかも」
「ジャガイモは逆にジャガイモ料理ってあんまり聞かないし、その辺はトレードオフなのかもしれないわね」
「米も昔はただただ煮てただけどか」
「小麦も炊いていた時期があるかもしれないわね」
「ということで、米が優勢なので今日の夕飯はお寿司!」
「……今の流れは米よりも小麦じゃないの?」
「やっぱりそうなる?」
「そうなるわね」
「なかなか狙い通りにはいかないもんだね」
「割引券が来てたんだけど」
「じゃあお寿司ね」
「やったー!」
「割引券、別に気にする必要は
あんまりなくない?」「機運よ機運」