シーズン02 第057話 「beat your banana!!」
「バナナの叩き売りって何で叩いてるの?」
「アナログサイネージよ」
「なにそれ」
「デジタルサイネージは知ってるかしら?」
「いいえ」
「電子公告のことよ。サイネージが広告」
「それを言ってしまったらデジタルも電子ではないし」
「全部嘘じゃん」
「そう言う解釈もあるわね」
「デジタルサイネージは全部嘘!」
「そう言うとまたちょっと問題のある表現になってくるわね」
「で、アナログサイネージ」
「殴りバナナね」
「正解がバナナの叩き売りであることを考えると殴りバナナは正確な表現ではない」
「殴りバナナ販売」
「殴る用のバナナを売ってる感じだ」
「バナナは殴るとすぐ折れるので暴力性を発散するのに最適!」
「折れたら使えないから適してないんじゃないかしら」
「結果よりも過程を重視する人だ」
「言い方がアレだけれど、殴りたいのか折りたいのかって話よね」
「殴りたいならパンチングマシーンを使えば良いのでは」
「バナナの方が安いわよ。あと食べられる」
「パンチングマシーンも中に小豆を詰めたら食べられるぞ!」
「それパンチングマシーンじゃなくてサンドバッグじゃない?」
「たしかに」
「正確には小豆を入れたら小豆バッグね」
「ティーバッグみたいな話になってきた」
「小豆バッグをお湯の中に入れて待つと、お汁粉が出てくる……」
「便利そう」
「でもティーバッグ方式だと出るのは出汁だけだから、おしるこにおける小豆のつぶつぶ感は楽しめないわね」
「小豆バッグの中には小豆が入ってるので破いて食べれば良いわ」
「パック破くと紙が混入するからやだ」
「そういう問題が起きないように布とかになってるんじゃないかしら」
「ハイテク!」
「布であるおかげでサンドバッグみたいにも使えるというわけね」
「ん? サイズ的に大きすぎない?」
「だから、小さいものを殴りたいという需要にお応えするのよ」
「暴力性だ」
「バナナを殴るのだって小さいのを殴るイベントじゃない」
「確かに。叩き売りは暴力性の発露」
「実はバナナの叩き売りはバナナを叩いてるわけではないのよ」
「まあ、薄々そうかもしれないとは思っていた」
「叩いたら潰れるという関係があるので比較的推測は容易ね」
「でも凍らせたバナナを叩いてるのかもしれないじゃん?」
「バナナは凍らせると叩かれる側から叩く側にジョブチェンジするからあまりそういう用途は聞かないわね」
「ということは、バナナの叩き売りはバナナを叩くことで売るのではなく、凍らせたバナナで通行人を叩いて無理矢理バナナを買わせる押し売り詐欺商法……?」
「違うわね」
「良かったー」
叩き売り、原理的には商材に
任意の物が選択可能




