シーズン02 第053話 「雨は降ってるからといって降ってるとは限らないということを皆さんそろそろ理解した方が良い」
「小雨ってさ、存在しないじゃん?」
「存在はするわよ」
「いやいや」
「いやいやではない」
「じゃあ例えば小雨が降るとする」
「降るわね」
「どうか」
「どうって何よ」
「濡れなくない?」
「あーーー」
「ということで小雨は事実上存在しないと言うことで天気予報もどんどん無視していってほしい」
「うーん、人間の認識レベルではそうでも、他の領域についてはいろいろ考えないといけない場合もあるのよ」
「例えば?」
「車のフロントガラスとかは小雨でも水滴がつくからワイパーが必要、とか?」
「小雨で水滴がつくな」
「無茶を言わないの」
「熱により一瞬で排除」
「付着したあと排除するなら現状のワイパーシステムと同じじゃないかしら」
「棒を動かさなくてもいいのでエネルギー効率的! 地球に優しい車です!」
「水滴排除熱は一体どこから出てくるのよ」
「ガソリンを燃やしたときの熱、捨ててませんか?」
「……なんかいけそうな気がしてきたわね」
「でしょう」
「あ、でもガラスが150℃とかになったら不用意に手をつくことでやけどする危険性があるわ」
「ワイパーに指を切断されるリスクと同じ」
「されないわよ」
「人間の認知レベルではなぜ小雨が存在しないのかということを詳細に考えていこう」
「存在はするけどね」
「これは小雨とはまた別の閾値だけど、湿度100%と雨の違いっていうのも難しくない?」
「雨降ってるときは常に湿度100%というわけではない」
「割と湿度計見ると100%になってない?」
「それは、ある」
「湿度って100%超えると空気中に水が出てくるわけでしょ?」
「雲がまさにそれね」
「あれと雨の違い」
「降ってきてるかどうかでしょう」
「地上に?」
「地上に」
「となると、霧は地上で発生してるけど、あれは?」
「霧は……霧かしら」
「霧雨は?」
「雨」
「何でだ!」
「降ってるから」
「確かに」
「結局雨が降るかどうかは上昇気流と重力のどっちが勝つかということなのよね」
「降ってない雨も上昇気流が弱いことで降らずに降ってくるのか」
「特に難しくない話なのに難しい感じになってる」
「小雨も小上昇気流のおかげ」
「わかりやすくなったわね」
「ということは、むしろ下降気流なら絶対雨は降らないのでは」
「そうよ」
「やったー!」
「高気圧は晴れっていうのと同じ話ね」
「確かに。自明ちゃんだ」
「秋は高気圧が弱まるおかげで低気圧も弱まるから降り方も夏の豪雨に比べてゆったりで済むのね、きっと」
「それっぽい!」
「未確認だけれどね」
「それっぽさが増した!」
「どういう評価軸よ」
「確認してたらそれに近づくのでそれっぽいからは離れる」
「ややこしいわね」
「要約すると、秋は小雨、小雨は降ってない、なので秋には常に雨が降らないとみなせる。ということでどうか」
「どうかとは」
「つまり、気の持ちよう」
「いくら気を不確かに持ったとしても、今日は雨扱いだと思うのよね」
「そうかー」
「そうねー」
「おのれ秋雨前線」
「冷静に考えたら秋雨前線系の雨は秋でも結構降るわよね」
「前線には気流の概念が通用しない」
「それは通用する」
「通用した」
「やっぱり天気予報を信用して傘を持ってくるべきだったわね」
「秋の雨は降らないと思ってしまうのでやっぱり降らないときは降らないというべき」
「小雨でも一般には降る扱いよ」
「はーーーー」
大雨と小雨、対義語なわけだが、
逆にそんな気まったくしないな