シーズン02 第051話 「熱による貯蔵」
「熱蔵庫って何でないのかしら」
「捏造するボックス?」
「そうね。熱蔵の有効性はもっと考慮されるべきよ」
「まあ有用性はあるかもしれないけど」
「けど?」
「誠実性が足りない」
「焦げるから?」
「債権が?」
「なんで債権を殺菌消毒して保存しなきゃいけないのよ」
「マネーロンダリング?」
「加熱してもマネーロンダリングはできないわよ」
「むしろ報道局などを冷やしていく必要がある」
「報道局?」
「ん?」
「あら?」
「なるほど冷蔵庫の対義語としての熱蔵庫だったのね」
「熱の蔵の倉庫で熱蔵庫よ」
「あたたかみがある」
「勘違いしてる割には結構ラリーが続いたわね」
「無いものの話をしてるからね」
「何者でもないものは何者にもなれるという名言もあることだし」
「誰の?」
「メタモンかしら」
「無い名言じゃん」
「ということで改めて熱蔵庫の可能性を考えていきましょう」
「冷やすことでも殺菌できるし温めることでも殺菌できるんだったらどちらの方法で保存したって良いはずなんじゃないかという類推?」
「そんなところね」
「とりあえず、生肉を生肉として保存しておくには冷蔵庫でなければならない」
「熱蔵庫は唐揚げを唐揚げのまま保存することができるわよ」
「冷凍唐揚げとかあるじゃん」
「もう一度温め直さなければいけないでしょう? それならば熱し続けた方が話が早いじゃない」
「お惣菜売り場の温め棚に入ってるやつみたいな感じか」
「そうそう、そんな感じよ」
「……あれが熱蔵庫なのでは?」
「あれはただの棚よ」
「冷蔵庫もだいたい棚だが」
「お惣菜温めマシーンが熱蔵庫かどうか怪しいのはあのまま保存する目的かという点もあるわね。もっと言うと殺菌として熱を使ってるかどうか。単に温かい棚としての保存場所のような気がするのよね」
「そう言われれば常温保存の延長なのかもしれない」
「保存のための熱蔵庫が欲しいところね」
「欲しいの?」
「欲しいかどうかはこれから決めるわ」
「欲しくないじゃん」
「そういう解釈もある」
「利便性としてはどうなんだろうね。例えば冷蔵庫は冷えててもそのまま取り出せるけど、熱蔵庫が100℃とかになってたら流石に取り出すのには専用の器具を使わなければいけないのではないか」
「ちょうどいい温度にすればいいだけじゃないかしら。45℃とか」
「そのへんの温度だと菌やウイルスはむしろ活性化するのでは」
「難しいわね」
「そもそも冷蔵庫、殺菌目的ではなくない?」
「そうかしら。冷蔵庫に入れたものは長持ちするじゃない」
「そうなんだけど、あれは各種バクテリアその他の活動を冷やしてゆっくり理にしてるだけで、殺菌はしてなくない?」
「確かに。そう言われてみればそうかもしれないわね。冷凍庫は?」
「あれは殺せるタイプのやつは殺してる気がする」
「死なないやつは死なない」
「トートロジーだ」
「同一律の確認は大切よ」
「空集合じゃないことをしっかり確認していけ」
「つまりいったん人体に害を成す者たちを高熱殺菌消毒したら、あとは45℃でぬくぬく栽培をしても別にいいということになるんじゃ」
「45℃である必要性もなくない?」
「それもないわね」
「常蔵庫だ」
「死の大地を形成しつつ簡単に取り出せるボックスを作るというのが人体構造的に難しいっていうのが最大の問題かしら」
「おおむねそうかな?」
「って考えるとむしろ冷蔵システムというものが人間にとってかなり完璧だったわけね。人間多少冷たいものに触ってもなんとかなるもの」
「とはいえど氷点下のすごく低いのは駄目だけどね」
「ドライアイスかき氷が美味しく食べられない理由ね」
「それは気化するからでは」
「気化に関しては楽しく食べられるだけで美味しく食べられるわけではなくない?」
「おいしいは、たのしい!」
「逆は必ずしも真ならず」
「たのしいは、おいしい!」
「なんとなく納得しかけるんだけどそこで言う楽しいってドライアイスかき氷とかそういうことじゃない気がするのよね」
「よくぞ常識的判断にたどり着かれました」
「あなたは何枠なのよ」
「浪速とは関係のない人生を送ってきましたが」
「浪速区の話はしていません」
「一瞬で熱照射して殺菌し
保存する箱」「電子レンジね」