シーズン02 第050話 「職住間斥力を高めていけ」
「リモートワークってどこから?」
「どこって何よ」
「例えば、隣の部屋とか」
「あー」
「ある一定の距離よりも人が遠ざかったらリモートワーク、逆にそれよりも近い位置にいれば家内制手工業だと思うんだけど」
「とりあえず、リモートワークの対義語が家内制手工業ではないのは確かね」
「そうか、オートマニファクチュア」
「とりあえず、工業はあんまりリモートワークって感じじゃない気がするのだけれど」
「あら?」
「リモートワーク、主に第三次産業領域の話じゃないかしら」
「しかしコンビニ店員のリモートワークというのはレジボックス内に立てないのでなかなか厳しいものがあるのではないだろうか」
「それはそうね。第三次産業でも対面じゃないといけない場合はリモートワークは難しいということかしら」
「それかやはり距離の概念なのでは。レジ台を挟んだ向こう側にいる場合はリモートワークではないが、100メートル先に店員さんがいる場合はリモートワークと言えるかもしれない」
「どういう状況よ」
「100メートル先からレーザーポインターみたいなのでバーコードやICチップを読み取ったり、お釣りを投げたり」
「角度とか脚力とかなかなかの熟練土が求められるわね」
「万引きが発生した場合はボタンを押すとペイントボールの機銃掃射が」
「そこだけハイテクね」
「犯罪者は許さないと言う精神」
「精神の問題とはまたちょっと違う気がしてくるけれど」
「技術か」
「技術なんだけれど、とりあえず無い店舗の話をこれ以上膨らませても爆発するのでやめておきましょうか」
「はい」
「逆にリモートワークの実例からどのような領域においてリモートワーク可能であるのかを見ていくのが良いのかもしれないわね」
「警備員が門に立たずに監視カメラを見る」
「リモートワークかしら」
「遠隔監視だしリモートワークでは?」
「確かにリモートって遠隔の意味よね」
「あとは遠隔操作ウイルスで色々なところをハッキング」
「これに関してはリモートだけどワークじゃないタイプな気がするわね」
「リモート詐欺? 詐欺師にとってはリモートワークでは?」
「それをリモート詐欺としてしまうと、詐欺の本家本流は対面により相手を騙す卓越した技能によるものであって、情報機器を用いた詐欺は甘え腐った若造の邪道であるみたいなイデオロギー闘争になりかね」
「妙に具体的ですね」
「職場見学とかの経験が少ないから結局よくわからないのよね、リモートワークの実例」
「となれば文献調査か」
「どのあたりの文献に当たれば良いのかしら」
「結論を急ぐのでやはり想像力で補おう」
「急がないわよっていうか調査でも何でもないじゃないの」
「調査をしない、という調査」
「それっぽくいえてそうだけど実のところ全然言えてないやつね」
「限りある既知実例としてはカフェでノートパソコン的な物を使って何かをするというものがあるので、そのあたりから推測していきたい」
「つまりこうね。リモートとはカフェのこと」
「じゃあカフェ店員はみんなリモートワーク?」
「いいえ、カフェ店員はリモートワークではないわね」
「駄目じゃん」
「そんなことないわ。なぜなら彼らは全員、リモートワーカーアドミニストレータなのよ!」
「すごい!!!」
コーヒーを注いでいますコーヒーを
注いでいますコーできました