シーズン02 第046話 「ドローンは蜂の羽音が原義なのでうるさいことについて全く反省していない可能性がある」
「雷力発電って何だっけ」
「らいりょく?」
「雷の力」
「そんなものはないわよ」
「そんなものはないわけないでしょ」
「そんなものがないわけないことはない」
「つまり……我々が雷だと思っているアレは、すべて幻覚?」
「いや、雷が存在しないと主張してるわけではなくてね」
「雷の力? エネルギー? ってどうやって貯まってるんだっけ~、というお話」
「なるほどね。あれは基本的に摩擦由来よ」
「摩擦熱?」
「熱は電気ではありません」
「でも電気は熱でしょ?」
「そ……んなことはない」
「そんなことはなかった」
「イメージとしては、といっても実態としてもだけれど、静電気になるわね。古典的には琥珀を布で擦ったときに得られるあれよ」
「琥珀を布で擦ったことなし」
「それに関してはごもっともね」
「というか琥珀自体見たことない気がする」
「私もそういえば実物は見たことない気がするけれど、難しいこと考えないならだいたい蜂蜜ね」
「それもそうか。蜂蜜の固形だから、べっこう飴ね」
「べっこう飴は蜂蜜の固形ではないけれど」
「難しいこと考えないんでしょ?」
「まあ、それなら悪くないかもしれないわね」
「つまりべっこう飴を布で擦ると」
「べとべとになる」
「あたりまえ劇場だ」
「いずれにせよ、雷力発電こと雷のエネルギー源は雲の中で生まれた静電気ということになるわね」
「水滴同士の擦り合わせで静電気がたまるということ?」
「水滴と言うよりは氷の粒が主かしら。ほら、雷と言えば積乱雲だけれど、あの規模なら中には氷も混ざるでしょ」
「納得した。が」
「が?」
「その発生方法だと粒子同士がぶつかれば何でも良いわけで、となると砂嵐とかでも内部で雷をため込みうるということ?」
「……言われてみればそうね。確かに映画とかでも砂嵐の中で電気がバチバチしてる映像が映ることがあったけれど、あれはそういうことだったのかもしれないわね」
「ということは、雷を使って人間が使えるような発電をしたい時は、雲じゃなくて砂嵐の発生源で集電すれば地上なのでより効率的に集められる!」
「砂嵐の方が発生頻度低いし予想も難しいから、無難に積乱雲にドローンとでも飛ばして集電するのが一番じゃないかしら」
「積乱雲無限活動ドローン待ったなしじゃん」
「そうは言うけれど、世の中にはもう太陽光発電というものがあるのよ」
「太陽、残念ながら夜には得られない」
「ドローンは移動可能なのだから太陽を追いかけて空中を移動し続けるのよ」
「で、余った電気を積乱雲に供給する」
「足りないときは積乱雲からもらう訳ね」
「雲を巨大な電池として扱うシステム、これから流行らないかな」
「無限に発散するのでここまで」
「ドクターストップがかかった」
「ドクターではないけれどもね」
「人間ストップ」
「汎用性のある表現ね」
「結局雷力発電は一撃の大きさにたいして合計量が少ないからコストに見合わないってことで作られないんだよねたしか」
「少なくとも落雷発電はそんな感じね。そもそも静電エネルギーはなぜたまるのかというと上昇気流に由来するものな訳だから、そちらのほうから直接電力を得る手法、すなわち風力発電を推し進めるのが現実的なのよね」
「つまりドローンを積乱雲の中に仕込むことで無限飛行が」
「飛ばされてるだけでは?」
「全理ある」
ハリケーンとかは回転してるので
むちゃくちゃすごく発電できる