シーズン02 第043話 「祭と炭水化物の間には密接な関係があるのではないだろうか」
「さつまいもの日って結局何だったんだろう」
「さつまいもの用途なんて一つしかないじゃないの」
「あーあ、命の保証はないからね」
「何でよ!?」
「命を狙う人がいるからだよ」
「それはわかるわよ」
「わかってるのならば良し」
「全然良くないわよ」
「そうだね。でもそれはさつまいもにも言えることなんじゃないかな?」
「というと?」
「つまり……どういうことだろう」
「考えてからしゃべりなさいよ」
「とはいってもいくら何でも流石に貧困では?」
「急にさつまいもをこき下ろしだしたわね」
「さつまいもが貧困という話はしていません」
「いや、さつまいもは貧困でしょ」
「まあそれはそうね」
「あーあ」
「今のはあなたが先に言ったじゃないの!」
「誘導尋問だからセーフ」
「普通は胸を張って言える話じゃないわよね、誘導尋問って」
「誘導尋問を自由自在に操る人間は既に普通ではない」
「それもそうね」
「そうなの?!」
「知らないわよ」
「まあ発想の話なんだけどね」
「でもさつまいもを食べる以外にどうやって使うのかしら。」
「状態遷移」
「この文脈でその返答は何かを言っているようで何も言っていないのと同じよ」
「指示語が多い。やり直し」
「まずは自分の発言を見直しなさいよ自分の発言を」
「何も言っていないのと同じなので見直すところなどありません。ふふん!」
「ああそう」
「つまり、さつまいもの日とはかぼちゃの日みたいに」
「普通大晦日のことはかぼちゃの日じゃなくてゆず湯の日って言わないかしら」
「大晦日の日ともゆず湯の日とも言わないね」
「それはもう少し言語や文化に対して真摯に向き合ったほうがいいわね」
「ジャガイモが貧困な人に文化について説教をされることになるとは」
「ジャガイモの話はしてないわよね」
「してないね」
「そういうところです」
「なるほど、こういう感じか」
「……なんか私が意図するところとは真逆に受け止めてないかしら」
「もちろん」
「おい」
「西洋かぼちゃの日の話です」
「ああ、例のキャラクターね」
「それに限らずこう、イベント的な」
「……それは確かあれね、あれ」
「あれ?」
「名前が思い出せないけど……東北の……」
「東北だっけ?」
「いいのよ今は東北でもなんでもどうせ日本全国でやってるんだから東北でも同じよそれより思い出すことに全力を」
「はいはい。で、東北の?」
「芋煮会?」
「そう、芋煮会!」
「……芋煮会?????」
「いいえ」
「でも、芋煮会って何するところなのかしら」
「芋煮会はバーベキューらしい。その辺の筋に詳しい複数の人からの証言を得た」
「バーベキュー?」
「肉を焼かずに芋を煮る」
「ことわざみたいな言い方だけれども何もわからないわね」
「懇親会だね」
「なるほど。じゃあお寿司やピザでもいいわね」
「江戸やイタリアならね。自分たちで作ることが大事なので」
「手巻き寿司や手巻きピザね」
「手巻きピザって?」
「知らないわよ」
「まあでも、ここから類推すればもうわかると思うけれど、さつまいもの日は」
「ええ、焼き芋ね!」
「……あれー?」
「我々も焼き芋と呼ぶべきである」
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