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概念部屋《C-Room》  作者: トルネードおさげたん  トルネードG&T
シーズン02
139/173

シーズン02 第039話 「虫だし」

「虫」

「虫?」

「って何?」

「何って何よ」

「虫、冷静に考えるとよくわからなくない?」

「存在が?」

「分類が」

「昆虫以外の虫の分類がどうなるかって話かしら」

「それも気になるところだけど、今問題にしているのは虫そのものの分類」

「わからないも何も、虫は虫でしょう」

「でもさ、カニって虫じゃないじゃん?」

「違うわね」

「ほら」

「ほら、って言われても」

「じゃあもっと言うと、深海にはダイオウグソクムシっていう大きいやつがいるよね」

「いるわね。水族館で見たことがあるわ」

「あれ、ダンゴムシでしょ?」

「似てるわね」

「でも虫扱いじゃないでしょ?」

「……なるほど」

「ほら!」

「そう言われてみると、気になりどころではあるわね」


「虫っぽい虫じゃないやつを挙げながら法則性を探っていこう」

「まずはカニね。グソクムシも」

「海老もぽいよね」

「言われてみればね。その流れでいくとザリガニもかしら」

「あるある。カブトガニ!」

「三葉虫って虫かしら」

「カンブリアは全員だね」

「植物っぽいのは違うわよ。あとクラゲも」

「うんうん。大体わかってきたね。今まで挙げたのの共通点は、水属性!」

「属性って何よ」

「そこは、雰囲気で」

「わからなくもないけど」

「要するに、水の中にいる場合は虫ではない!」

「アメンボとかゲンゴロウとかは?」

「あー」


「虫の共通点を探る方が早いんじゃないかしら」

「ミミズとカブトムシに共通点はない」

「カブトムシの幼虫はミミズっぽいわよ」

「幼虫のせいで話がややこしくなってる感がある」

「サナギも考慮に入れたらもっと複雑になるわね」

「常時サナギみたいな生き物は流石にいないでしょ」

「……珊瑚とか?」

「サナギか?」

「サナギじゃないわね」

「そもそも幼虫スタイルだけだったり幼虫からサナギを経て成虫になったりサナギを飛ばして脱皮だけでいい感じになったりと複雑がすぎる」

「これは……臓器から同定するしかないのかしら」

「ゾウリムシとてんとう虫の臓器は果たして同じだろうか」

「いや、ゾウリムシは虫じゃないわよ」

「ええー!」


「そもそも、虫って本当に科学的な用語なのかしら」

「コンピュータのバグも広義の虫に含めるとかそういう話?」

「そうじゃな……いや、そうかもしれないわね」

「コンピュータのバグを虫と呼んでるのは日本では聞いたことがありませんが」

「でも、ゾウリムシの虫っぽさとバグの虫っぽさって同じぐらいじゃないかしら」

「違います」

「絶対値で」

「同じですね」

「物分かりがいいわね」

「気分がいいので」

「まあ、なんでもいいわ」

「ひひーん」

「なんで馬なのよ」

「馬は虫じゃないよ?」

「知ってるわよ!」

「博識!」


「ともかく」

「ともかきましょう」

「ともかく!!」

「はいあ」

「おそらく、虫は日常語だから明確な定義はないと思うのよね」

「和語だしね」

「それもそうね。日常語なら意味がぼやけてるのも仕方ないわ」

「つまり、自分が虫だと思ったらそれが虫ということだね」

「カニもザリガニもカブトガニも、虫だと思えば虫になるのね」

「うむ。ということで」

「ということで?」

「カニ食べたい?」

「あるの?」

「ないけど」

「何なのよ」

「はい、じゃじゃーん!」

「……何かしらこれ」

「ハチノコ。の佃煮。貰った」

「なるほど」

「食べる?」

「遠慮しておくわ」

「ええー」

「瓶詰めだと見た目がちょっと……ね」

「ほら、虫もザリガニも同じだし、ザリガニだと思って!」

「いや、ザリガニも食べないわよ」

「――はっ、しまった!」




 「ザリガニに油をかけて炒めると

   ほぼロブスター」「本当に」「嘘」

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