シーズン02 第037話 「伸ばし小麦と焼き豚の鶏ガラスープ」
「中華そばって結局ラーメンなのかしら」
「中華そば?」
「知らないかしら、中華そば」
「あー、たまに看板で見たことあるような。あれラーメン屋なのね」
「それがわからないのよ」
「そうだった」
「これが画像ね」
「なるほど。食べたの?」
「いいえ。インターネット写真よ」
「食べたことなし?」
「そういうわけでもない……はずだけれども」
「まったく味がしなかったのでわからないと」
「そういうわけではないわね」
「違た」
「だいたいまったく味がしなかったらそれはラーメンではないで確定でしょうに」
「確かに」
「で、どうかしら」
「写真が中華そばの一実例であるとしてもそうでないものの可能性もあるからなー」
「というと?」
「冷やし中華は?」
「あー」
「写真が冷やし中華っぽかったので」
「冷やし中華が中華そば……かどうかは、どうかしら。少なくとも冷やし中華が中華そばであるともないとも聞いたことがないわね」
「見た目は似てるから思ったんだよね、冷やし中華と中華そば」
「わからなくはないけれど、そば性じゃなくて中華性に引かれてる可能性はないかしら」
「なるほど、中華性を分離するために他の例を考えると……ラーメンって中華?」
「そんな気もするけど少し離れてるような気もするわね。というか、そもそも冷やし中華ってラーメンなのかしら」
「よし、この方向性は諦めよう!」
「とりあえず、写真の中華そばがラーメンかどうかよね」
「ラーメンな気がする」
「であれば、ラーメンは少なくとも冷やし中華の部分集合……はすこし早合点ね。両方に属するものがあることはわかったから、あとは『ラーメンじゃない中華そば』と『中華そばじゃないラーメン』がそれぞれあるかどうかね」
「実例の数が足りないなかでかなり厳しい戦いになってきた」
「反例あるパターンならひとつ見つけるだけだから余裕よ」
「中華そばじゃないラーメンは中華性のないラーメン」
「蕎麦かしら」
「蕎麦はラーメンではない」
「そうね」
「方向性はたぶんよくて、和ラーメン……洋ラーメン……」
「あ、カップラーメンとかはどうかしら!」
「カップラーメン、中華といわれれば中華な気がするし、中華じゃないといわれれば中華じゃない気もする」
「中間そばね」
「そんなものはない」
「じゃあ逆に、ラーメンじゃない中華そばはラーメン性があって中華性の……えーと、何だったかしら」
「やはり経験例が少ないなかでの考察には無理があるのではないだろうか」
「それもそうね」
「食べに行こうか」
「いきましょうか」
「行こう!」
「で、どっちにする? ラーメン? 中華そば?」
「うーーーーーん、中間そば」
「……カップラーメンじゃないのよ!!」
ラーメンか蕎麦かはたまたうどんかも
区別できない謎の食品