シーズン02 第027話 「フライド・ヴォイド」
「豚の唐揚げって何でないのかしら」
「トンカツになるからじゃない」
「トンカツに対応する鶏はチキンカツよ」「広義の唐揚げ」
「なかなか広いわね」
「東京ドームで何個分?」
「東京ドームいっぱいの唐揚げは食べ過ぎね」
「全員で食べても?」
「全員で食べてもよ」
「そりゃそうか」
「そもそも東京ドームが唐揚げみたいなところもあるわね」
「さらに寛容性に磨きがかかってきた」
「膨らんでるし、中が空洞だし」
「中が空洞の唐揚げ、店で出したら客がテーブルに火を放つやつじゃん」
「フラストレーションがすごいわね」
「貧民の唐揚げを出された貧民はキレるので」
「どこから貧民が出てきたのよ」
「スラム街」
「無い唐揚げ屋にいない人を来店させるんじゃありません」
「東京ドームの唐揚げは無い唐揚げなので」
「まあ、筋は通ってるわね」
「東京ドーム唐揚げはないけど東京唐揚げならありそう」
「飲食物の頭に東京ってつけると都会っぽくなるわよね」
「東京豚の角煮」
「前言を撤回し謝罪するわ」
「の、が悪いのかもしれない」
「なるほど」
「東京りんご飴」
「微妙なラインね」
「東京カンロ飴」
「これは完全に下町ね」
「東京コンロ飴」
「ありそうでもない無い飴ね」
「東京コンビニエンスストア」
「コンビニエンスストアは飲食物ではありません」
「結局唐揚げについて考察を深めても豚の唐揚げが存在しない理由ははっきりしなかった」
「そういえばそんな話だったけれどその件についてはまだ何も考察を深めてないわよね」
「考しよう!」
「どうかしら」
「東京唐揚げが豚の唐揚げだった!」
「だから豚の唐揚げはないんだってば」
「東京のコンビニエンスストアにしか売ってない!」
「そうなの?!」
「知らない」
「これは無いわね」
「豚は高温に耐えられないので豚の唐揚げを作ろうとすると中身が溶けてなくなってしまうという説はどうだろう!」
「同じく油で揚げてるトンカツはどうなるのよ」
「それはまあほら、貧者のトンカツに」
「無い物を説明するのに無い物を作り出すんじゃないわよ!」
便宜上トンカツと見做されている
油で揚げた豚汁廃液