シーズン02 第026話 「Spring(水属性)」
「泉って実在しなくない?」
「いや、するわよ」
「具体的にはどこに?」
「プププランドね」
「プププランド実在論だ」
「プププランド観念論もあるのかしら」
「誰が提唱してるんだろう」
「それは……星の戦士じゃないかしら」
「星の戦士にそんな知能があるとは思えない」
「急に切り捨ててくるわね」
「ということで泉は実在しないわけですが」
「確認してなかったのだけれど和の泉の話?」
「それは実在する」
「なるほど、じゃあ洋の泉の話なのね」
「洋泉、字で書くとありそうな気がしてきそう」
「洋泉と泉洋のどちらかしら」
「よういずみ」
「大泉ね」
「用意済みかもしれない」
「preparedね」
「泉の本質は用意なのであながち間違ってない」
「残念ながら用意済みからは泉は消えてるわよ」
「本当だ!」
「というか泉の本質が用意ってこともないわよね」
「人間にとって飲み水の確保は不可欠なわけだが」
「溜め池のことかしら?」
「池じゃん」
「池ね」
「だから、泉は存在せず」
「……あーなるほど、わかってきたわ。つまり、泉の名を冠している水たまりの地名が存在しないと」
「そういうこと」
「昔和泉に存在していた泉が全部地下に埋まったんじゃないかしら。そうして泉という名詞だけが残った」
「アポカリプス世界観だ」
「あ、でもトレビの泉ってあるわよね」
「人工物じゃん」
「というか、そもそも泉って人工物なんじゃないかしら」
「なるほど?」
「泉は英語でspringだけれど、あれも噴水のイメージよね」
「であれば泉は噴水?」
「ではないけれど、泉の水はきれいなイメージがあるわよね」
「その辺が池とか湖とか沼とかとの違いだね」
「つまり、泉の構成要件は流入にろ過フィルターがついている水の集合地、といったところではないかしら。そしてろ過フィルターは一般に人工物」
「石とか砂とかの土壌比率がなんやかんやして山上の上流に自然的に発生するろ過フィルターは?」
「水源地は湧き水って感じで泉とはまた違うんじゃないかしら」
「springっぽさはあるけどね」
「じゃあspringが泉ではなかったのね」
「非自然言語の恣意的解釈だ」
「自然言語ではあるわよね」
「自然言語だった」
「以上より、人工物であるろ過フィルターを必ず含むような泉はそれ自体もまた人工物である、と言えるわね」
「ということは、夢の泉は?」
「夢の国と同じで人工的に造成された夢にすぎない、ということよ」
地下水が地上に湧き出る場所のこと。
池とかそういうやつではないです。