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概念部屋《C-Room》  作者: トルネードおさげたん  トルネードG&T
シーズン02
123/173

シーズン02 第023話 「ソフィスティケイテッドノイズキャンセリング正弦波」

「440Hzって擬音語で言うとなにかしら」

「ド」

「それを言うなら正確にはCね」

「アルファベットは擬音語ではない」

「アルファベットは擬音語ではなくはないわよ」

「いや、アルファベットは擬音語ではなくない?」

「アルファベットは擬音語ではないけれど、そういうことじゃなくて」

「どういうことだ」

「そういうことよ」

「そういうことでしょうけれども」

「……伝わってはいると思うのだけれど、それはそれとして不毛なのでこの辺でストップね」

「残念」


「440Hz、聞いたことあるかしら」

「ないってことはないでしょ」

「純粋な」

「各種楽器のこと?」

「あれは基本不純じゃない」

「楽器は不純」

「そういうことじゃなくて。いやそういうことだけれども」

「イメージ戦略は大変だね」

「どちらかというと会話を進行することの方が大変なのだけれど」

「心察」

「ともかく、楽器の音じゃなくて、純粋に440Hzが奏でられてるのって聞いたことあるかしら」

「とは」

「要するに1秒間に440周期のする三角関数波ね」

「ノイズなしで?」

「ノイズなしで」

「無理では?」

「無理じゃないわよ。一般的なコンピューター機器があれば生成できるわよ」

「空気は?」

「……それを言われると厳しいところがあるわね」


「骨伝導とかならどうだろうか」

「結局人体の組成が均質な物質じゃないから撹乱は免れ得ないのよね」

「自然界の厳しさだ」

「まあこれに関しては私の言葉選びが悪かったのだけれど、要するに目的とする周波数成分以外のノイズ周波数成分を無視できる閾値以下に抑えた音声信号を純粋な音声信号と定義したときに、純粋な440Hzを聞いたことは」

「ない」

「じゃあこの話はここでおしまいね」

「えー」


「まあ、本当は聞いたことがあるはずなのよね。ほら、お昼のニュースの前に時報の音が鳴るじゃない?」

「鳩の鳴き声?」

「テレビでハト時計の時報は使ってないしハト時計の鳴き声とハトの鳴き声は異なるわよ」

「準二級ハト時計専門士認定クラスの知識量じゃん」

「何よ準二級ハト時計鑑定士って」

「そんなものはない」

「でしょうね」

「いや、私が言ったのは準二級ハト時計専門士だから」

「どうせそれもないんでしょ」

「ご明察」

「ご明察、じゃないわよ!」


「結局ハトと440Hzにいったいどんな関係が」

「ハトとは関係がないけれど、昼の時報の時に流れる音のうち、11時59分58秒の時になる音と11時59分59秒の時に鳴る音が440Hzの純粋三角関数波なのよ。……送信側基準でね」

「テレビ放送の電波遅延も加味した完璧な回答」

「ね、聞いたことあるでしょう?」

「うむ」

「で、その440Hzを表す擬音……」

「あれの擬音語なら、割と自明に『ポ』では?」

「……それもそうね」




 正弦波1kHzは今日も行く

   すべてを闇に葬り去るまで

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