シーズン02 第016話 「Walking on the Foot」
「いくら遠くても二歩はダメじゃない?」
「二歩って距離の問題ではないでしょうに」
「いやだから、千里の道は一歩からってあるじゃん」
「あるわね」
「一歩からってことは二歩目もあるってことじゃん」
「そうね」
「二歩」
「……ああ」
「ということを0.5秒で理解できるようになってからが本番です!」
「何を始めるつもりなのよ」
「まあでも、なんでダメなんだろうね、二歩」
「単純にゲームバランスの問題じゃないかしら」
「二歩でゲームバランスが崩れたところを見たことがない」
「誰もやらないもの」
「歩をたてに五枚とか並べると五回連続攻撃を決めないと勝てないからその間に四方八方から雷撃を落とされて負けるので良くないみたいな?」
「どういう戦場よ」
「魔法大戦」
「中世だからって何でもかんでも魔法が仕えるわけじゃないのよ」
「しまった、アジアの罠か!?」
「陰陽道ならいけるという話でもありません」
「一説によると飛車と風水には密接な関係がないことが知られており」
「ないんじゃない」
「ないです」
「けどさ、重装歩兵ってn×mの歩みたいなものじゃん」
「あれはヨーロッパじゃない」
「つまり中国には重装歩兵禁止条約が古くから結ばれていたことに」
「中国大陸は騎馬民族が強いんじゃなかったかしら」
「ところがどっこい、どこでも強い」
「ヨーロッパも?」
「あそこは昔森だったから」
「なるほど」
「だからヨーロッパの将棋には桂馬が居ないのです」
「騎士は?」
「あれは……ほら……匈奴とか」
「怒られるわよ」
「イギリスは匈奴の国!」
「違うわよね」
「違いますね」
「でもさ、歩兵って千里も歩けなくない?」
「だからあれは歩じゃなくて歩よ」
「そうか、一見できないからこそことわざに」
「それはそうなのだけれど」
「でも行軍で千里も歩くことって本当にある?」
「地球の全周が四万キロだから千里はその十分の一ね。経度で言うと36度」
「なるほど、つまりあれはアレクサンドロスの話だった!」
「中国」
「はっ!?」
将棋盤、王の配下が十九人
しかいないけど、本当に王か?