シーズン02 第015話 「加速する三大穀物」
「パンはサンドイッチ、米はおにぎりだけど、トウモロコシには何があるんだろう」
「コーンフレークかしら」
「そんなことなくない?」
「あら、違う?」
「何基準で選出していると思ったのか」
「ヨーグルトに合いそうな朝ごはんのメニュー?」
「本当に?」
「……すみません、適当に言いました」
「よろしい」
「で、実際の選考基準は何なのかしら」
「……ファストフード?」
「あら、コーンフレークもファストフードじゃないかしら」
「ん? 牛丼をファストフードに分類する派?」
「いや牛丼は……」
「牛丼は?」
「……やめておきましょうか、この件は」
「ですね」
「で、選考基準は何だったのよ」
「ファストフードというか、手でもって食べられる食べ方だね」
「なるほど。それならコーンフレークは不適切ね」
「まあヨーグルトとか牛乳とかかけなければ手で食べられないこともないけど」
「そうはいっても一応マナー違反じゃないかしら」
「アメリカにマナーはない!」
「そんなことないわよ!」
「そんなことないか」
「あ、でも手で持って食べられるトウモロコシっていうけど、トウモロコシは芯から外さずにそのまま茹でれば普通に手で持って食べられるわよね」
「おお! ……あ、いやでもあれは野菜じゃん」
「穀物のトウモロコシの方で何かないかってこと?」
「そういう」
「前から気になっていたのだけれど、確かに日本で夏に手に入るトウモロコシが野菜っていうのはわかるのだけれど、だとしたら野菜じゃないトウモロコシってどんなものなのかしら」
「それはほら、豚の飼料とかの」
「乾燥してるだけで収穫時の状態は同じじゃないかしら。トウモロコシの巨大脳炎の写真を見てもぱっと見では野菜としてのトウモロコシと同じ植物に見えるわ」
「なるほど、つまり豚が食べたトウモロコシは穀物」
「コーンフレークは?」
「あ」
「なんだ、てっきりコーンフレークを食べてる人間は豚って言いたかったのかと思ったわ」
「なかなか言いますね」
「そういえばコーンフレークって食べるかしら」
「豚はコーンフレークは食べないね。たぶん」
「豚の話じゃなくてあなたが」
「私は豚ではないですが」
「豚かどうかとコーンフレークを食べるかどうかは独立ということで片が付いたから大丈夫よ」
「あれば食べるけど積極的に追い求めることはしない、ぐらいの位置づけかな。同じクラスターにはナタデココなどが含まれます」
「クラスタとクラスターって同じ単語のはずなのになんとなく印象が違うわよね」
「それは十中八九クラスター爆弾のせい」
「クラスター爆弾って何がクラスターなのかしら」
「集まってるんじゃなかったっけ。中に」
「何が?」
「何かが」
「軍事機密ね」
「そうでもない」
「でもクラスター爆弾と爆弾クラスターだと意味が違ってくるわよね」
「表記は爆弾クラスタじゃない?」
「じゃあ結局はコーンフレーククラスタじゃないってことかしら」
「過程はいろいろとんだけど結論としてはそういう感じ」
「コーンフレーククラスタならトウモロコシのファストフード的なものも知られてるのかしら」
「コーンフレーククラスタというかトウモロコシクラスタだね」
「そもそもトウモロコシってクラスタよね」
「ややこしい」
「この辺は粒度が細かいから日本語で会話したほうが分かりやすいわね」
「トウモロコシって日本語で何ていうんだっけ」
「トウモロコシよ」
「ごもっとも」
「あと、ファストフード的なものというか、手で持って食べられる料理、だったわね」
「トウモロコシのファストフードだとポップコーンになっちゃうからね」
「……ポップコーン、手で持って食べられるわよね」
「……ああ!!」
日本人、ポップコーンを映画館
専用食と思ってません?