シーズン02 第012話 「不毛作」
「そろそろお米の季節ね」
「米は穀物だから一年中あるんじゃないの?」
「そうじゃなくて、新米の季節よ」
「日本は春に年度が変わる」
「最近は秋入学なんてものもあるのよ。同じく入社も」
「秋に入学ということは、秋に派遣切り?」
「何故」
「出会いがあればまた別れもあるのです」
「既存の職員を追い出して新人を入れるのって意味あるのかしら」
「問題を起こしたのかもしれない」
「それは秋に限らず一年中どのタイミングでも着るべきね」
「派遣を切ってスコアを稼ごう! 派遣百人切り侍!」
「業務に支障が出るわよ」
「新しく雇えば問題なし」
「だから既存の職員を追い出して新人を入れる意味は」
「ほら、壊れたら交換しないと」
「文脈的に意図的に壊してるわよね」
「社会の闇。病むんじゃなくて病ませる」
「それ以上はいけない」
「はい」
「切るなら株にしなさいよね」
「損切?」
「それも大事だけれども」
「値切り」
「株取引で値切り交渉ってできるの?」
「なんかこう、高速取引とキャンセルを繰り返したりしてほら。つまり高速取引業者は高速キャンセル業者と言い換えられると」
「完全に嫌な人ね」
「まあ嫌な人だし」
「というかよくよく考えたらそういうのって人ですらないわね」
「いきなり辛辣」
「いや、そうじゃなくて、ああいうのってプログラムが自動で動いてるんじゃないの?」
「プログラマが自動で動いて?」
「それはそれで地獄っぽいわね」
「というかなんでプログラマが自分で動くんだ! プログラムを書け!」
「あなたが言い出したんでしょうが」
「プログラマは光速を超えられないので雑魚」
「誰も超えられないわよ」
「新幹線のひかりのあとはのぞみだったということわざがあってね」
「もう少しうまい故事の紹介の仕方はできないのかしら」
「すみませんでした」
「なんか最初はもう少し自然現象に近い話をしようとしてた気がするのだけれど」
「日没とか?」
「なんで日没限定なのよそんな狭い時間幅の話はしないわよ」
「太陽が地面に触れてから沈み切るまでの五分間を描いた短編連作ストーリー」
「面白そうだけれど、私にそれを語る能力はないわね」
「じゃあ日の出」
「少なくとも太陽の話ではなかったわね」
「野菜の話でしょ? 太陽の話といえなくもなくない?」
「覚えてるなら最初から言いなさいよ」
「野菜の価格が上がってるのも高速先物取引業者のせいだ!」
「結局取引に戻ってきたわね」
「でも、これに関しては高速先物取引業者に責任があるんじゃない?」
「今年に関しては天候不順のせいよ」
「米が食べられなくなってもいいのか!」
「待ちなさい、今年の天候不順は冷夏じゃなくて猛暑。トレンドも暑くなる方向に向かってるわ」
「暑かろうと寒かろうと平均から離れたら異常気象でしょ?」
「でも、暑くなったら逆に年に二回米を食べられるようになるわよ」
「おお、全日本メコン化計画だ!」
「そのレベルなら年に三回は作れるわね」
「結局今まで通り一年中あるじゃん、お米」
「でもいいのかしら、東南アジアのお米っていうと」
「……うわあああああああああああああいやあああああああああああああああああ」
「いやあなた食べたことは無いでしょう」
「まあうん」
命拾いしたな。今年は二毛作
ぐらいで許しておいてやろう。




