シーズン02 第011話 「x軸またはy軸を中心とし任意の方向に90度回転させたトウモロコシ」
「マヨコーンのことわざってあるじゃん?」
「マヨコーンのことわざ?」
「知らない? マヨコーンが真横ーン、ってやつ」
「え?」
「だから、マヨコーンが真横ーン」
「……は?」
「ああ、画像つきじゃないとよくわからないか」
「いや、わかるわよ」
「ならよかった」
「わかるけど、それはことわざじゃないでしょう」
「そうなの?」
「そうでしょ! マヨコーンが真横でもそこに何の含蓄も含まれてないわよ」
「含蓄を含むは連語ミスですよ」
「……含蓄の含が含むだからその通りね。っていうかなんでそれがわかるのにマヨコーンがことわざだと思うのよ」
「マヨコーンはことわざじゃないよ? ことわざはマヨコーンが真横」
「いいから」
「はい」
「そもそも駄洒落としてもそんなに伝統的なものでもないじゃない、マヨコーン」
「が?」
「言いません」
「はい」
「要するに、マヨコーンって最近できたものでしょ?」
「最近ってほど最近でもなくない?」
「そうかしら。マヨネーズの誕生からまだそんなに立ってないはずだから、布団とかアルミ缶とかに比べたら」
「アルミ缶とマヨネーズは同格では」
「……そんな気もしてきたわね」
「つまり、アルミ缶はマヨネーズ!」
「違うわよ」
「アルミ缶入りのマヨネーズ?」
「使いにくくないかしら」
「新たなイノベーションが待ち望まれている」
「別に今のプラスチックケースで不便してないわよ」
「でも缶に入れれば長持ちするし」
「密閉性というか空気と触れるかどうかの問題だから缶かプラスチックかは関係ないわよ」
「いや、気分的に」
「気分で賞味期限を決めるんじゃない」
「でも缶詰の賞味期限は気分で決めてるでしょ? 十年前の缶詰開けても全然大丈夫だったりするし」
「よく開ける気になったわね」
「缶は強いので」
「だから密閉されてれば同じだって」
「でもプラスチックは十年たったら日光で分解されて溶けちゃうでしょ?」
「溶けません」
「なるほど、最近の技術革新は」
「昔から溶けないわよ」
「えー、でもゴムボールとか」
「ゴムボールは、ゴム」
「なるほど!」
「なるほどじゃないわよ」
「でもさ、マヨコーンの缶詰ってないよね」
「コーンの缶詰ならあるわよね」
「マヨが入るとなくなる」
「日持ちしないんじゃないかしら。マヨネーズが卵由来だし」
「じゃあ缶詰のマヨネーズも無理じゃん! もう!!」
「いや、私に言われても」
「言いたかったので」
「満足したかしら」
「満足しました」
「よろしい」
「やったー!」
「何がいいのか自分でもわからないわね」
「世の中にはわからないことの方が多い。だから気にすることはない」
「そんなものかしら」
「そんなものです」
「じゃなくて」
「あらら」
「冷静に考えたら、マヨコーンって何よ」
「マヨネーズで和えたコーンでしょ?」
「そうはいうけれど、マヨコーンが」
「真横ーン」
「マヨネーズで和えたコーンの塊を真横にしても」
「マヨコーンはマヨコーン」
「……?」
「いえーーーーい!!!」
「い、いえーい!」
「解決!!!」
「……本当に?」
「世の中にはまだまだ不思議なことが多い。だからそのすべてを気にすることはない」
「そんなものかしら」
「そんなものなのです」
マヨコーン周りの法が整備され
寿司屋以外で制限された