シーズン02 第007話 「すーぱーおみっしょん!」
「スーパーコンピュータをスパコンって略すセンス、どうかしてるわよね」
「時代だから」
「時代がどうかしてるってこと?」
「権力者に消されてしまう」
「いや、時代の問題じゃないでしょう。今でも使ってる人いるわよねあの略称」
「それは慮り的な配慮が全世界的にいきわたってる感じじゃない?」
「慮るんじゃないわよそんなの。っていうか海外でもスパコンなの?」
「どうなんだろう。SP-PCとか?」
「文字で書くならそれでもいいけれど、発音するにはPがかぶってるのが気になるわね」
「じゃあSPC?」
「サッカークラブみたいね」
「あるの、SPC?」
「サッカーはあまり詳しくないから知らないわね」
「そりゃそうか」
「そりゃそうかって何よ」
「で、なんて略すのがいいと思ってるの?」
「そうね……例えば、エスコンとかいいんじゃないかしら」
「なんか合コンの亜種みたい」
「それは聞き慣れてないからそう聞こえるだけよ。パソコンもマイコンも聞きなれない人にとっては合コンの亜種に聞こえるわよ」
「そういえばマイコンに関しては文句なしなの?」
「別にあれはそこまでセンスに問題があるとは思えないけれど。どうして?」
「マイコンピューターっぽくない?」
「それは……あるわね」
「ほら」
「でもこの件に関してはどちらかというと悪いのはマイコンという用語が定着している中でマイコンピューターとかいうアプリを作った会社の方よ」
「アプリなのあれ?」
「ショートカット? とにかく。ただのコンピューターで良かったじゃない」
「バージョンによってはコンピューターだよね。いまはどっちだっけ」
「そういえばマイコンピューターって最近のには書かれてない気もするわね。反省したのかしら」
「でも世間ではマイコンピューター呼びの嵐がおさまることはなく」
「一度犯した罪は消えない的なあれね」
「マイコンピューター撲滅委員会を設置してマイコンを社会の中から追放すべき」
「マイコンじゃなくてマイコンピューターね」
「はっ、しまった」
「ここにも感染者が」
「何の感染ということになるのだろうか」
「社会かしら」
「社会から隔離されてる人の発言っぽい」
「なんでよ! 正しいのは私の方よ!」
「それっぽいそれっぽい」
「もうちょっと続けようと思ったけど極めて社会的な人間だったからこれ以上は思いつかなかったわ」
「残念」
「とにかく、これからはパソコン、マイコン、エスコンの三本柱ってことでやっていくべきよ」
「エスだけじゃスーパーってことだって伝わらなくない?」
「スパコンのほうがもっと伝わらないでしょう。ほとんどの日本人はスパって聞いたらスパゲッティのことだと思うはずよ」
「美容的なスパもあるじゃん」
「あれは実態が不明だからここでは無視するものとするわ」
「何なんだろうあれ。サウナ?」
「サウナなんじゃないかしら。スパだし」
「根拠が不明」
「語感ね」
「やっぱり根拠が不明」
「なんかスパって聞いたらサウナっぽいって思わない? 理由はわからないけど」
「あー、蒸気がスパーって吹き抜けるイメージ?」
「……そんな気がするわね。でもそうなるとちょっと名前として安直な気がしてくるしこの路線はなしね」
「結局何なんだろう、スパって」
「スパゲッティよ」
「スパゲッティかー」
「スパリゾートはスパゲッティリゾートよ」
「スパゲッティリゾート! 行きたい!」
「そういえばそろそろ昼の時間ね。昼食はパスタにしましょうか」
「お? スパゲッティをパスタって呼んで反感を買うタイプの人かな?」
「いいえ。その偏った思考を強制するために今日の昼食はマカロニグラタンパスタサラダ屋さんね」
「そんなのあるの?」
「ない」
「えー!」
「あると思ったの?」
「いいえ」
「じゃあいいじゃない」
「じゃあいいか」
「ということで昼はマカロニごはんね!」
「マカロニごはん! ……マカロニごはん???」
スーパーをスパと略して良いのなら
あのヒーローはスパマンですね