シーズン01 第010話 「tinyゴミ問題」
「今日のゴミ of Yesterdayってさ、毎日捨てに行かないとダメかな」
「何よ今日のゴミ of Yesterdayって」
「昨日に出た今日出しに行かなければいけないゴミ、それが今日のゴミ of Yesterday」
「無駄にまどろっこしいわね」
「えー、じゃあもっと良い表現考えてよ」
「普通に今日のゴミで良いじゃないの」
「だってこの辺ゴミの日とかがある感じじゃなくていつでも捨てに行って良いわけだし今日のゴミっていうとなんか語弊がない？」
「一応ゴミの回収日自体はあるわよ。毎日出しに行っても大丈夫なように一時置き場が充実してるだけで」
「ゴミ充だね」
「間違ってないんだけど間違ってる感がすごい」
「これからは家を選ぶならゴミ充の時代！」
「だらしない金持ちの玉の輿に乗れみたいな話に聞こえる」
「ゴミ活だね」
「今度は逆に清掃活動に聞こえてくるから不思議よね」
「ということで、こちらが今日のゴミ of Yesterdayなのですが」
「何でこんなにゴミが出るのよこの家には冷蔵庫もキッチンもないのよ」
「ほら、だからさ？ 買った食材は食べないといけないじゃん？ 飲み物も飲まないといけないじゃん？」
「健康に悪いわよ」
「大丈夫、成長期だから」
「むしろ大丈夫じゃないわよ」
「食べただけ成長する時期だから」
「成長期を都合のいいように解釈しすぎよ」
「それはまあ、成長期なので」
「成長期って言えば何でも許されると思ってるわね」
「まあね」
「認めるんじゃないわよ」
「で、こちらが今日のゴミ of Yesterdayなのですが」
「いつの間にやらこの話ももう三度目ね」
「三度目の正直で本題に突入したいところ」
「で、本題は何なのよ」
「ゴミを出しに行くのが面倒」
「甘えるな以上おやすみ」
「うぐぐぐぐぅ……」
「何なのよ」
「心が破壊されました」
「メンタル弱すぎでは」
「成長期なので」
「だ、か、ら！」
「えへへー」
「そもそも、ふつう毎日ゴミ出しに行くほどゴミ箱は埋まらないわよ」
「うん、私もそう思う」
「つまりあなたがゴミを出し過ぎる生活習慣なのが悪いのよ」
「いや、ゴミ出しはマナーでしょ」
「え？」
「ゴミはちゃんと出さないと」
「……ああ、なるほど」
「わかってくれました？」
「言いたいことをどう捻じ曲げたのかは分かったけどマナーなのはゴミを捨てに行くことであってゴミを生み出すことではないわよ」
「リサイクルとリユース的な」
「完全に雰囲気でものを言ってるわね」
「もちろん」
「だから威張るな」
「えへへー」
「そもそも今の例はRe要素がどこにもないわね」
「サイクルとユース？ つまり自転車を使う？」
「それはサイクルをユーズ」
「おお、つまり自転車を使ってるリサイクル業者の話か！」
「今は国が回収してるからリサイクル業者は自動車の利用が主流よ」
「自動リサイクル業者だね」
「業者は手動よ」
「手で動かすの？」
「そうじゃなくて普通に人力が介入してるって意味よ。そもそも手で動かすなら手動って定義なら自動車は手動車じゃないの」
「つまり自動車とベビーカーの間に本質的な違いはないということか」
「なんかどんどん議論の行方がおかしなことになってきたわね」
「まあ自動車とベビーカーに差はないということなので」
「あるわよ」
「どこに？」
「いろいろよ。エンジンとかハンドルとか」
「つまりエンジンとハンドルのない車は手動車になるわけか」
「誰が自動車みたいな巨大な鉄の塊を手で運べるのよ」
「なんかそういうトレーニングしてる人」
「流石に無茶」
「流石だな無者」
「それは虚空に話しかけてる人」
「コミュニケーションはいつも一方通行……紡がれた言葉は唯々塵芥となり虚空へと溶けて行く……」
「完全に収集がつかなくなったわね」
「つける気がないので」
「そんなんだから生活に収集がつかなくなってゴミが増えるのよ」
「……よし」
「何か決意が固まったかしら」
「ガーベイジコレクターを雇おう」
「現実世界におけるガーベイジコレクターはただのゴミ収集人のこと……って」
「あ、そういえば」
「毎日来てくれてたわね、お掃除の人」
「出かける前に玄関にゴミ袋置いとくか～～」
それほどは大切じゃない物事は
なくなるまえに忘れ去られる
