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行くべきか戻るべきか。それは問題では無い。

今回も、インタビュー形式の為、書き方が大分変わっています。

 高級ホテルが建ち並ぶ宇宙の歓楽街ニューべガス。その中でも洒落た装飾と、旧時代の形式をを敢えて再現したと有名なシェイクスピアーレホテル。そのホテルのキングスルームに、二人の男性が対面で座っている。




――先日公開されたばかりの【ロミーオとジュリエッタ】。拝見させて頂きました。大変素晴らしい作品で感動致しました。



スケィロック:おぉ見たのかい。あんがとさん。ありゃ俺の最期の作品にしたい位の出来だからな。



――えー、まずですね。あなたの事を知らない読者の為に、念の為紹介させて頂きます。【ナリィタ・スィケロック】氏。地球のアジア地域の伝統芸【カブーキ】を今も受け継ぐ家の出身ながら、お芝居全般に表現を拡げて活動する幅広い役者です。先日公開されたばかりの【ロミーオとジュリエッタ】が話題騒然。熟練の演技がまた魅力的で……



スケィロック:(話を遮りながら)おうそれなんだよ。熟練の演技つーのがな、また今変わってるわけでよ。



――と言いますと?



スケィロック:外部記憶再生装置で(以下外再と略す)、誰の体験でも自分の物として体験・体感が出来る……だから、エンタメは終わったと抜かす奴がいるが、んなこたぁないんだよ。精巧なCG(20〜21世紀に流行った映像表現の一種)が出て廃業した役者がいたか? いねぇんだよ。つまりな……(以下、ここ10世紀程の演劇的表現に関する語りが五十分程続く。割愛)



――つまり、俳優業は死なないという事ですね。



スケィロック:おうよ。つまりだな……(以下専門的過ぎる話が二十分。割愛)



――えーそろそろですね、【外再】についてのお話をもう少し伺いたいのですが。



スケィロック:おうおう。つまりだな。【外再】を使って、ドラマを作るのなら、本当にその感情に、嘘偽り無くならないと駄目なんだよ。で、若手の顔だけしか取り柄が無い奴がそれをやれない。で、俺がボディダブルみたいに、メンタルダブルをやる訳だよ。



■解説:ボディダブルは二十〜二十一世紀に使われた、俳優の身体を別の役者が演じて、編集で一人の俳優が演じている様に見せるという物。メンタルダブルは、他の俳優の芝居に、感情だけを他の役者が当てる物。相当難易度が高い為、宇宙規模で百名も出来る者はいないと言われている。



スケィロック:今回は俺が大嫌いな女優と組んでラブロマンスをやったんだが、顔は後から違う若手のに変えられたんだ。でも撮影中は、記憶記録装置を付けて、本当に感情剥き出しでやるわけだ。きつかったぜ。少しでも嫌だと思ったらそれが反映して記録されんだから。嘘は言えないんだよ。全部真実なんだよ。



――つまり今回は気持ちも含めた演技を見て欲しいと。



スケィロック:顔は俺じゃなくて若手の奴に変わってるが、芝居は間違いなく俺の感情だよ。まぁ後から自分では記録を再生しないが、青春の若人の気持ちになっていたと思うぜ。




   **********




 長時間のインタビューを終えて、ユニバーサルスペースジャーナルの記者ジェイムスはくたびれ果てていた。ネタは面白いのだが、どれだけ脱線したか……。


 ふと、予定には無かったが、今回話題に上がったお相手の女優のスカーレット・サライ氏に、スケィロック氏側の【外再】を、彼女に体感してもらったら、彼の気持ちが分かるという面白い体験が出来るのでは無いかと思い立った。ジェイムスは早速その手配を進めたのだった。




 後日トントン拍子に話は進みいざスカーレット氏が、彼の記憶を【外再】した時、彼女は顔を赤らめた後にそっと涙を一筋流した。

 実は二人は過去に強烈に惹かれあったものの、家柄の関係で無理矢理別れさせられ、その結果か反動か、人前で顔を合わせれば、悪口の応酬をするような関係だったのだ。だが……。



スカーレット:あのね……記者さん。この人の気持ちはね。私は恋仲だった若かりし時に一度だけ【外再】で体感した事があったのよ。今体感したらね。あの時と全く……全く変わらない気持ちで真っ直ぐに私を見ていたのよ……。私の事をこれっぽっちも嫌ってなんか……(泣き崩れるスカーレット氏。取材はここで中止となった)




 後日、二人は家柄も何もかもをはね除けて一緒に住む様になったという。ジェイムスは、二人のキューピッド役として、自分が記事にされてしまうとは思いもよらなかったのであった。

ボディダブルというお仕事は実際に存在しています。ハリウッド等で有名です。

メンタルダブルは、造語です。

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