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海鷲物語   作者: 海のshin
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序章 2 神社の森

頭がズキズキする。船はいったいどうなったのか。

「えっ…」


よく周りを、見回してみるとそこは、かしまの艦橋ではなかった。社に鳥居、まるで神社だ。というか神社だろう。ただ見覚えのない神社だし、周りを見ても、出入り口が見当たらない、すべてを鬱蒼とした木に囲まれている。


「ここはどこだよ」

「ここは僕の術式の中だよ」


予想外に返事があり、振り向いてみると、そこには、小学生高学年くらいの男の子がいた。


「術式?何かの遊びかい?できればここがどこか教えて欲しいんだけど…」

「術式、わからない?そうだ!自分の体を見てみると状況がわかるかな?」


そう言われて英嗣は自分の体を見ると…


「げっ、ないじゃないか!てか、地面しか見えないし!えっ⁈なんだこれ⁈」

「落ちついて、言いにくいけれど、あなたは、亡くなるか、精神と肉体が離れるほどの衝撃を受けて、意識だけ浮遊していたんだよ。そこを僕の術式がつかまえたってこと」

「意識だけ…そうか、死んだか…」


もちろん思い当たることは、あの暗闇だ。


「じゃあここは天国か何かってことでいいのかな?」

だいぶ、落ちついてきた俺は、現状を、把握する事を優先することにした。


「ううん。天国じゃないし、僕は神様でもなんでもないよ。僕はサギリ・アルフォード。ソラット公国ラウスヤ村の騎士テル・アルフォードの長男だよ」


「普通、ライトノベルとかだと、神様がでてきたりするんだけどな…俺は英嗣…ヒデって呼んでくれ。あと、地名がさっぱりわからないんだが…」

「ライトノベル? ソラット公国を知らない?アキツシマで最も古い国の一つなんだけど」

「知らないなぁ、そもそも、アキツシマとやらもしらない、あえて言えばアキツシマは日本の昔の呼び名だけど…」

「ニホンは知ってるんだ」

「日本はあるのかっ!よかっ…「ないよ、少なくともアキツシマには。神話の一部だよニホンが出てくるのは」

「どういうことだ?」

「アキツシマに伝わる神話で、世界が混乱していた時、アイアンブリードと呼ばれる神の使いがアキツシマにやってきて、混乱を鎮めて、統一国家を作ったんだ、その、アイアンブリードが来た国っていうのが、ニホンと呼ばれているんだよ」


よくわからない、知っている単語が出てくるのは嬉しいが根本的に何かが違うようだ。結果…考えるのをとりあえず止めよう。これからのことを考えるべきだ、どうやら死んだらしいし…


「それで、俺はこの狭い神社で何をすればいいんだい?」

「本題だね、時間がないから手短に言うよ。僕の代わりに生きて欲しい。というか、体を使って欲しい」

「何を言っているんだ、君の方が若いんだから俺と代わる意味がわからない」


英嗣は、心底意味がわからないと首を振った


「貴方が何歳かわからないけれど、意識体だから見た目じゃわかんないよ」


笑いながらいうサギリの顔には、何かを決意したような、意志のある目が宿っていた。


「何か理由があるのか?」

「そう、僕はもうすぐ死ぬんだよ。14歳でね。でも悲しくはないんだよ、生まれてすぐ、体が不自由になって、病が移るといけないから両親とも思うように会えなかったけど、僕には豊富な術力があった。術式のおかげで、世界を見れたし、気をにも会えた、でも、そのおかげで生命力が限界なんだ。元々生命力を失っていく病気だったしね」


笑いながらいう、サギリに悲しい感じはなかったが、

それは14歳でいろいろ、経験したせいなのだろう。俺が黙っているのを見たサギリは先を続けた。


「体は元気なんだよ、ないのは生命力だけ、その点、貴方は意識だけで浮遊するほど、生命力に溢れているし、僕の術式を無意識で捕まえるほど、術力もある。だから、お願いします。僕と生きてください」


頭をさげるサギリ。


「子供に頭を下げさせる趣味はない。上げてくれ。それは、どちらかの意識はなくなるということでいいのかな?」

「違うよ。融合というのがいいかもしれない、2人が一つになるということかな。記憶は両方持てるはずだよ、生命力のベースがヒデさんなので、ヒデさんがあくまで中心になると思う」

「そっか、サギリがいいなら、いいよ。俺には選択肢は元々あまりないしな」

「そうだよね、ごめんなさい」


そう言ってサギリは、初めて子供っぽい表情を、見せた。


「本当にヒデさんがニホンから来たというのなら、この世界、アキツシマは全然違う世界だと思うよ、あくまで神話のなかだけど、術式とかなかったみたいだし。時間がないから、説明はできないけど、徐々に覚えていってね」

「また無茶な」


なんの説明なしに放り込まれるわけだから、無茶だろう。


「さっきも言ったけど僕は病気でほとんど知り合いとかはいなかったけど、両親と妹、世話をしてくれていたメイド、幼馴染の兄弟はよく遊びに来てくれていたから僕の変化に気づくかもしれないけど、上手くごまかしてね」

「ごまかすって言われても…」


なんか子供に良いように言われているが、仕方がない。サギリの置かれている立場を把握するのが先かな、とか考えていると、サギリが言った。


「時間がないね、融合しましょう!いいですね?」

「あぁ、わかった」


勢いに負けてうなづくと、サギリが近づいてきて言った。

「ヒデさんと融合したら、すごい能力をもつかもしれないよ、もともと僕の術力はものすごく高いし、ヒデさんの術力と生命力はものすごく高いみたい、これは楽しみだね、これからよろしくね」

「わかった」


答えた俺にサギリは手を触れた。







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