3.ミミックスライムアギル
ん…
ここは…洞窟の中か?真っ暗だ。
えっと、俺は何をしていたんだったか
目が覚めたばかりだから寝ぼけているのか頭がちゃんと働かない。俺は確か姉ちゃんに一緒に風呂に入ろうと誘われて。
そうだ、そのまま死んだと思ったら異世界センターとかいうところにいつの間にかいて、そのままなんか変なモンスターに転生させられるって話になったんだっけ。
ってことは俺は今もしかしてモンスターなのか。
俺は手を動かそうとする。
が、手が伸びない。精一杯伸ばしているのに全然距離がかせげていない。
そういえばスライムって手足が伸びていなかったな。ということは俺は本当にモンスター担ってしまったのか。
そういえばあの女性、確か「人化の術」とかいうのをくれていたような気がする。それを発動できれば人に化けることが出来るのだろうか。
俺は頭の中で人化の術を念じた。
すると、何かが弾けるような感覚があった。
それと同時に体中が熱くなり、今まで真っ黒だった視界は一転、真っ白に塗られた。
「あついあついあついあつい!!」
しばらく苦痛に耐えていると、だんだん視界がクリアになっていく。
そこは、湖の前だった。
「うわ、危ないな。もしかして歩いてたら湖に落ちてたのか。」
俺は湖に近づいてその深さを見る。
そこに、水面に、見たことのない人が映っていた。そいつは、俺の行動を完全に真似して動いているようだ。というかもしかして。
「この水面に映っているのは….いや、まさか….俺なのか…?」
水面に映っていたのは
10才くらいの少女であったのだ。
俺は信じられなくて人化の術を解く。再び体中が熱くなり、そして視界がふさがれた。
(ありえない…俺はアギル、男だぞ…人化の術を使うにしても男に変身してくれないと辻褄が合わなくて困るぞ…)
今気づいたが、スライム状態では言葉を発せない様だ。発声機構がないんだろう。
俺は現実を直視する覚悟をして、人化の術を再び発動する。
体中が熱くなる。
視界は真っ白になる。
そしてだんだんクリアになる。
目の前の水面。
そこ映っていたのは
可憐な少女であった。
「うわああああああああああああああああああ」
俺は頭を抱えた。