クライン
冬だね。
おなかすいたね。
星空が綺麗だね。
秋が去ったね。
思い出が燃えていったね。
チラチラと輝いていたよ。
フタを閉めた、茶色のツボ。
中に入ったアルミホイル。
新聞紙もろともストーブの上。
出口を失った赤外線が、大切にしていたこの身を焦がす。
熟成しきった黄色い蜜を、もう一度、戻していく。
何分焼いた?
あと何分焼けばいい?
ブザーの音が鳴った時。
僕たちの世界の向こう側で。
香ばしい匂いが漂っている。
望遠鏡と、焼きたての焼き芋と。
他に君が居れば、この世界に何もいらない。
焼き芋用の壺ってあるのね。
知らなかったよ。
ありがとうございました。




