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ゲームサービス終了

 ――Honest(ホーネスト) Dimension(ディメンション)――


 2X34年、世界を驚かせた超次世代型VRゲーム。

 もう一つの現実世界、通称HD。

 そこは剣と魔法の世界そして夢の世界。

 冒険・娯楽・レジャー・自然・文化・歴史すべてが揃う世界。

 何のしがらみもないもう1つの人生。





 アメリカのある小さな街に新しくできたゲームセンターが事の始まりである。



酒くらいしか楽しみがない片田舎の街に突如新しい娯楽施設が出来た。ロサンゼルスや、ニューヨーク、テレビに出てくるような近代的なネオンが煌めく建物は、田舎とは到底思えない出来映えだった。その外観をみた近隣住民の期待は大きく膨らみ、近くの親戚や友人・知人などに自慢話をし、500㎞離れている隣の州まで、建物の話は広まった。そしてオープン当日、新しい娯楽施設の誕生に歓喜した全住民がこぞって訪れた。



外観の特徴である赤と白のコントラストの建物の自動ドアを潜ると、一面に白の世界が広がった。出入り口のすぐそばに外観と同じく白と赤がモチーフになった制服を着た女性がカウンター越しにポツリと立っていた。無表情でカウンターに立つ女性におずおずと、一人の青年が彼女に話しかける。彼女は集まっている住民にちらりと視線を向け、青年の方に向き直りやや大きめ(・・・・・)の声で、このゲームセンターの概要を説明をした。



このゲームは次世代バーチャルリアリティーゲームであり、肉体を動かすことは勿論、視覚・聴覚・嗅覚や味覚までも全て完全に再現されている。ゲームの中の世界とは言うものの現実のように喜びや苦しみといった感情も触感や痛みなどの痛覚といった感覚までも再現されており本当に自分がそこにいるかのような体験ができるRPGゲームである。



その内容はにわかに信じがたいものがあったが、それが本当なら革新的な技術が盛り込まれたゲームだと期待がどんどん膨らんでゆく。



そして料金設定の説明に入る所で問題が起きた。



アメリカのゲームセンターなどに置かれている所謂、アーケードゲームというものの相場は高くても1プレイ1ドルであるのに対し、このゲームは1プレイ100ドルという高額な金額設定であった。そしてこのゲームセンターに置かれているのはこの一種類のゲームのみで、他のちょっとしたバーだとかダーツやビリヤード等もなく、住民は怒りと落胆の色を見せた。




農場か農園ぐらいしかない片田舎にいる住民には、1プレイ100ドルもの大金はとても払えるものではなかった。待ちに待った娯楽施設だと思っていた建物が、ぼったくり施設であると認識され、誰もが去っていく。


そんな中、初めに店員に声を掛けた一人の青年、ホールドは1プレイ100ドルとはどれほどのゲームなのかと試しにプレイしてみたくなった。幸にも不幸にも彼は中流階級の家であったので払えない金額ではなかった。


そして…彼はこのゲームの1人目の中毒者になってしまった。


ホールド曰く「これはゲームではない。もう一つの現実世界。そう、僕は異世界に行ってきた。」そう言って彼はこれまで貯めてきた貯金は勿論、自らバイトしては全てこのゲームHonest(ホーネスト) Dimension(ディメンション)につぎ込んだ。



そんな彼に興味を持った友人知人から始まり近所のゲーマー達が1人1人ハマっていきその噂が噂を呼び、わずか半年足らずで、高すぎる金額設定なのに対し、プレイ人口は100万人を超えた。



世界の主要な国の都市部でこのゲームはすぐに伝わっていった。新たな産業だと息巻く国も多く、このゲームの経済効果を求めて導入された国も少なくはなかった。プレイ人口が増えるにつれ、新規参入をする国が増え、更にプレイ人口が増えるという無限ループに陥る。と、思われたが次第にその中毒性が問題になり始めた。


分別のある趣味の楽しみ方をする人間が多ければ、このように問題はなかったのだろう。しかしホールドのような生活を顧みない中毒者が目に余るほど増えていき、次第にどうすることもできなくなった。ある国ではゲームから何らかの電磁波が出ており中毒性を生み出すのではないかと研究され、ある国では何の前触れもなく禁止令をだし暴動などに発展。ある国では国民がみなゲーム中毒になり国の生産性が止まり、衰退の一途を辿っている。



あるものは現実逃避に、あるものは魔物狩りを楽しむため、現実世界では体感できない経験・知識・権力と多岐に渡る各々の欲望を求めてゲームにのめり込む。




 その現状を重く見たゲーム会社real(リアル) questions(クエッションズ)はサービスの終了を告知した。ゲームが発売されてから約6年後のことである。



『私たちは次なる世界に身を置くべき時が来た。』



 ゲーム会社のCEOであるMr.Gはこう残して世界から消えた。




 ――――――ゲームサービス終了まであと1ヶ月

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初めての小説です。未熟者ですがよろしくお願いします。

誤字・脱字などありましたらご指摘お願いします。


1話あたり2000文字を目安に書いています。


ストックが無くなるまで毎日21時に投稿します。


今日は5話まで更新します。


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