少女は希望を捨て
私には何もなかった。
したいことも無く
望まれることも無い
自分でも、何で生きているか解らない
私は存在意義を求めていた。
誰かに必要としてほしい
もし、次があるなら
一人でもいいから、私を必要としてくれる人に会いたかったな。
後悔はなく
私は学校の屋上から飛び降りた。
‥…
‥…‥…
‥…‥…‥…
襲ってくる衝撃はなく
瞑っていた眼を開くと目の前に広がるのは青々とした草原、広大な風景だった。
見たこともない光景に圧倒されていると後ろから声をかけられた。
「君、大丈夫かい?」
フルフェイスの鎧に身を包んだ男と
その後ろに見える木で出来た門
明らかに私が住んでいた日本とは違う場所だ。
「あ、え‥…」
何てしゃべったらいいかわからず
しどろもどろになる私に
甲冑の男は優しく肩を貸してくれて立ち上がらせてくれた。
「こんなところにいたら魔物に襲われてしまう。さぁ、街にはいるんだ。」
男に肩を抱かれながら私は何も解らずに街の中へとつれていかれた。
街の中を進むと回りからの視線がいたかった。
哀れんでいるような
気持ち悪がっているような
そんな視線
私はそれが怖くて男にぎゅっと抱きつく。
男は優しく、大丈夫だ。
と言ってくれた。
その言葉に、はじめて感じる感情
温かく心地のいい気持ち
これは一体なんだろう‥…
男がつれてきたのは街の中央に位置する豪華なお屋敷だった。
ここにはこの街の長がいるらしい。
私は緊張しながらも男の手を握りながらその屋敷に足を踏み入れた。
「ようこそ、異世界の御仁。さぁ、こちらに」
私を出迎えてくれたのは豪華な衣装に身を包んだ少し小太りのおじさんだった。
その男の回りには何人ものメイドが控えていてまさにお金持ちと言う印象を受けた。
「さぁ、僕はここにいるから行って来なさい。」
男の暖かい言葉を受け
私は長の方へと進んでいく。
途中、一人のメイドさんに凄く見つめられている気がしたが誰一人私と眼の合う人はいなかった。
長に案内され入った部屋には豪華なテーブルと食事が用意されていて
長は私に食べてもいいと言ってくれた。
私はその行為に甘え
なんの疑いもなくその料理を口にし、一緒に席についた長と話をした。
これからの事、この世界のこと‥…
いろんな話をし
気がついたら真っ暗な部屋に横たわっていた。
大きな窓から月の光が差し込み
ぼんやりと自分がベットに横たわっているのが解った。
状況を確認すべく、体を起き上がらせようと力を込めるも動かない。
身体は痺れ
まともに言うことを聞いてくれない。
何とかベットの端に持たれるように体を置こすと
扉が勢いよく開かれ、ぞろぞろと男達が部屋に入ってきた。
「領主さまも人が悪い。まだ何も知らない異人に毒を盛るなんてな。」
「何を言う。連れてきたのはお前じゃろう?」
「そうだったな。ちょろそうだったがここまで簡単にいくなんて思っても見なかったぜ。」
部屋に入ってきた男達の先頭で話をする男二人。
一人は長
もう一人は‥…
「ど、どぅして‥…こな、こ、とを‥…」
私はここまで連れてきてくれたであろう男にいい放つ
だが、二人のいっていた毒のせいだろう
言葉はうまく紡げず。
未だにからだの自由は効かない‥…
「‥…おいおい。おきてんじゃねぇか」
「さすがは異人だな」
ゲスな笑みを浮かべながら男達は近づいてくる
怖い
怖い
なんとか逃げ出そうと体に力を込めるが
ベットから落ちたところを男に捕まえられた。
「逃げてんじゃねぇよ」
ベットの上へと投げ飛ばされ
男に馬乗りされる
「気色の悪りぃ髪だが顔はいいな」
男は私の服を剥ぎ取り自らも服を脱いだ。
「どうせ死ぬんだ。楽しめよ」
男はそういって私の体へと手を伸ばした
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そとで男の声が聞こえなくなり
なにかに持ち上げられたのか、上下に揺れる。
身体は動くようになったが
不快感だけは拭えない。
怖かった
痛かった
気持ち悪かった
何で私だけこんなことになるの
死のうとしても知らないところに飛ばされ
信じた人には襲われて
なにもかも奪われて‥…
でももう終わるのだ
私は人喰いの魔女と呼ばれる存在の供物にさせられた。
これでやっと死ねる。
あと一回の痛みを我慢すれば終わるのだ。
気がつけば揺れは収まり
地面に置かれた。
ととと、と足音が聞こえ袋の口が開けられた。
「はじめましておねぇさん。」
ニコッと笑うその顔に私は見とれてしまった。