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袋詰めの少女
東の森へは近づいてはいけないよ。
あそこには人を食べる怖い魔女がいるんだ。
街道都市グランデ。
その街の東には日の光が当たらず、魔物でさえも近づかない森があった。
森に名前はない。
ただ、そこには一人の魔女が住んでいると言われていた。
その森に近づく人影達‥…
そのなかで一人、小太りで醜悪な顔をしている男が森の前で膝をつく。
「ま、魔女さま‥…今年の供物でございます‥…」
男はこの街の長である。
街にすむ人々から徴収した税金で至福の暮らしをして肥え太った姿は見るに耐えない。
そんな男の指示のもと、大きな袋が森の中へと投げ捨てられた。
「こ、これで、この街へは危害を加えないでください‥…」
男はそれだけ言い残し
部下をつれ街の中へと戻っていった。
袋が投げ込まれた森の中
その場所に一匹の真っ黒な狼が現れた
そいつは袋をくわえて森の奥深くへと消えていった。