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恵方巻を丸かじりしてオメガになるはずが、なぜか氷の騎士団長に胃袋を捕獲され溺愛されています  作者: 水凪しおん


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第6話「千年樹の迷宮と最後の試練」

『幻の雪米』と『虹色サーモン』。二つの至宝を手に入れた俺は、最後の食材『千年樹のタケノコ』を求めて、大陸中央に広がる大森林へと足を踏み入れた。

 クラウス様とは港で別れた。「必ず城で待っている」と言い残し、彼は騎士団とともに帰還していった。その後ろ姿に、俺は心の中で別れを告げた。

 次に会う時、俺はもう「ただのベータのルエン」ではない。オメガとして生まれ変わった、新しい自分になっているはずだ。


 千年樹の森は、昼なお暗い鬱蒼とした場所だった。

 樹齢千年を超える巨木たちが絡み合い、天然の迷宮を作り出している。ここでは方位磁石も役に立たない。

 頼りになるのは、食材の気配を感じ取る俺の嗅覚だけだ。

 湿った土の匂いの中に、微かに甘く、瑞々しい香りが混じっている。タケノコの香りだ。

 茨をかき分け、道なき道を進む。服は破れ、頬には擦り傷ができたが、痛みは感じなかった。

 やがて、森の最奥部、陽の光がスポットライトのように差し込む場所に、それはあった。

 天を衝くような巨木の根元に、黄金色の皮を纏ったタケノコが鎮座している。

 ついに見つけた。

 駆け寄ろうとしたその時、上空から何かが降ってきた。


「キーッ!」


 鋭い爪を持つ怪鳥だ。タケノコの守護獣だろうか。

 俺は咄嗟に身を伏せた。

 だが、怪鳥は俺を攻撃するのではなく、タケノコを狙っていた。どうやらこいつも、この極上の食材を狙うライバルのようだ。

 タケノコを守らなければ。

 俺はリュックから、最後の武器を取り出した。

 虹色サーモンのアラと、雪米の研ぎ汁で作った特製の団子だ。強烈な旨味の匂いが周囲に拡散する。

 怪鳥がピタリと動きを止めた。

 俺は団子を遠くへ投げた。怪鳥は迷うことなく団子を追いかけ、飛び去っていく。

 その隙に、俺はクワを振るった。

 土を傷つけないよう、慎重に、かつ迅速に。

 掘り出したタケノコは、赤子の頭ほどの大きさがあり、ずっしりと重かった。


 これで全ての食材が揃った。

 あとは、これらを伝説の『静寂の社』へ持ち込み、調理し、食べるだけだ。

 社は、この森を抜けた先にある岩山の上にあるという。

 俺はボロボロになった服をはたき、タケノコをリュックに収めた。

 疲労は限界を超えていたが、足取りは軽かった。

 希望という名のエネルギーが、俺の体を突き動かしていたからだ。

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