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小さな誓い

今から約1000年前聖戦の最中、悪魔族と天使族、堕天使族の天魔三大連合と、人間族と巨人族、妖精族、魔人族の四種間同盟が争っていた。争いが均衡していた中、神々がこの世界に9つの加護をもたらした。「創造、生命、守護、知恵、破壊、記憶、不屈、狂喜、終焉、」誰もが齢12を越えたとき神々が加護をもたらす。1度授かった加護は2度と変わらず生涯を共にすることになる。

「こうして最初に神々から加護を授かった『9人の英雄』によって聖戦は終わりましたとさ。」

いつものように母さんから英雄の昔話を読み聞かされていた僕は、いつの間にか「英雄になりたい」という気持ちで溢れていた。

「もう寝るのよハク。」

「明日は12歳の誕生日なんだから、早起きして教会に行くわよ。」

「うん、分かったよ母さん。お休みなさい。」

僕は明日、神々からの加護を受けるために教会に行く。僕はどの加護を受けるかワクワクしながら眠りに就いた。

「コケコッコー」

庭で飼っている鶏の声で目が覚めた。穏やかな朝日に鳥のさえずり、今日は一段と気持ちが良い。今にも走り出したい気分だ。そんな優雅な早朝を過ごし、神々の加護を受けるため教会へと歩きだした。

「よっ!おはよ、ハク!」

「おはよ、今日は早起きだね。ロイ」

白髪が特徴の彼は僕の幼馴染みだ。ただとにかく危なっかしいだけの怖いもの知らず。そうただのバカ。

「ふふん、」

「なんてだって今日は、ようやく俺たちも加護を得られるんだからな!」

「あぁ…そうだね。」

12年という長く短い年月だったけど、これで念願の英雄への一歩を得られる。僕は心の中で高揚し、グッと拳を握りしめた。

「それではこれより加護の授与を開始する。」

「神々よ、今日をもって12の歳を迎える子供たちに加護を与えたまえ。」

教会の神父の声が響き渡り加護の授与が始まった。授与はそこの教会にいる12歳の誕生日を迎える子供たちに一斉に授与された。

『記憶の加護』

目の前に透けたプレートのような物にそう書かれていた。空中に浮いているが触ろうとしても通り抜けてしまう。加護を授かった皆が疑問に思っていた。

「今目の前に見えているものは自身のステータスだ。」

「加護はランクが上がる毎に真価を発揮する。ダンジョンでモンスターを倒し、経験を培うことでランクは上がる。ただランクを上げるには危険が伴う、加護をどう扱うかは君たち次第だ。」

神父はその言葉を最後に教会を後にした。

「おいハク!ハクは何の加護を授かったんだ?」

「ロイ…全く本当に君はせっかちだな。どうせ帰りは同じ方向なのに今言う必要もないと思うけどね」

「結局話すなら今でも良いじゃん!」

「確かに…そうだけどさ、、じゃあロイから何の加護授かったか教えてよ」

「フッフッフっ、聞いて驚くなよ俺は『破壊の加護』を授かったんだぜ!」

「んでハクはどうなんだ?」

「僕は『記憶の加護』だったよ」

なんで記憶の加護なんだよ。ロイは破壊の加護とか言うゴリゴリの戦闘系なのに。せっかくなら創造とか守護とかが、良かったのに。英雄の昔話でもあんまり聞いたこと無いんだけど記憶の加護なんて。

加護は受けた一人一人によって内容も変わってくる。特に突出している加護は『終焉の加護』聖戦の終わりをもたらした加護と言われている。ただこの加護は世界に一人しか授かることはできない。言わば勇者だ。

教会から帰った僕は父から衝撃的な言葉を伝えられた。

「ハク、冒険者として立派になりたいなら学園に通いなさい。そこでダンジョンについて学びなさい。他にも戦い方、生存方法、そして仲間を作りなさい。」

いつも天真爛漫な性格の父からは想像もつかない言葉だった。どうやら僕が冒険者になりたいことは父に筒抜けだったみたいだ。本当はすぐギルドに向かって冒険者としてロイと冒険しようと思ってたのに、でもせっかく学園に通わせてくれるなら行かない選択肢はないな。

空が落ちて星が綺麗な夜に僕はロイを呼び出した。一緒に冒険者になれなくなってしまったこと、学園に通うことを伝えるためだ。

「ロイ、夜にごめん。実は……僕…」

「学園に通うんだろ?違うか?」

「あぁ…だから一緒に冒険者になることは叶わなくなったんだ、ごめん」

「気にすんなよハク、俺たちは英雄になる!だから今一緒じゃなくても必ず俺たちは再開する。そうだろハク」

「あぁ…そうだねロイ」

星が綺麗な夜の下で小さなロイとハクは道は違えど英雄として必ず再開する日を胸に小さな誓いが交わされた。


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