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第11話:忍び寄る危機、反物質 「後編」

第11話として、反物質が暴走し、フィフやメイソンが対応する様子を描きました。

【反物質暴走発生】

爆発は突如として起きた。


セレナード市の東端にある第七鉱区。空を裂くような轟音と共に、鉱山から黒煙が立ち昇る。地鳴りのような振動が一帯を駆け抜け、近隣住民の悲鳴と警報が重なる。


防災センターの司令室に緊急通報が殺到し、モニターには次々と現地の映像が映し出された。制御室が半壊し、周囲の作業員が混乱の中で逃げ惑う様子が確認される。


「マスター、鉱区三号で爆発が確認されました。死者は確認されていませんが、現場は一時的に制御不能になっています。反物質の封鎖フィールドが不安定です」


フィフが冷静に報告する中、メイソンはすぐさま決断を下した。


「市内への影響は?」 「今のところ放射エネルギーは検出されていません。ただし、封鎖が解除されたまま放置されれば、反応が連鎖する可能性があります」


「……全避難経路を開放。周囲10キロ圏内の住民に避難指示を出せ。地下シェルターの電力供給を最優先で確保。非常対応班は現場に急行させろ」


「了解しました」


フィフはすでに通信経路を開き、AI制御の防災システムと連動して、避難誘導のプログラムを展開していた。自立制御アンドロイド達にも自動的に指令が伝えられ、ドローン隊と支援車両がそれぞれの区域へ向かう。


その一方で、メイソンはセンター長ライアンの執務室へと駆け込んだ。


「ライアン、反物質の封鎖が不安定だ。もし制御不能に陥れば、最悪の場合は暴走が始まる」


「わかっている……だが、政府はまだ『沈静化の見込みあり』と主張している。避難勧告の拡大も、正式な命令が出ていない以上……」


「もう命令を待っている時間はない! 俺たちが動かなければ、セレナードが吹き飛ぶかもしれないんだぞ!」


ライアンは目を閉じて数秒沈黙し、やがて重々しく頷いた。「……わかった。避難計画レベルをBからAへ。君の判断で動いてくれ、メイソン」


司令室に戻ったメイソンは、フィフに告げた。


「全市への広域警報を発令。避難ルートの制御をAIに任せて、俺とお前は現地へ行く」


「了解しました。私のサブボディは鉱区近辺に配備済みです。マスターの随行準備を整えます」


その瞳には、感情に似た決意の光が宿っていた。


【現地の惨状】

数時間後。現地。


爆心地はまだくすぶっていた。赤黒い瓦礫の中、作業員たちが互いに支え合いながら退避していく。


メイソンとフィフは、現地指揮所に入り、各データの分析と指揮を取り始めた。


「反応炉周囲の温度上昇は止まった。冷却剤注入が成功したようです」


「よし……だが、これは始まりに過ぎない。安全装置の再設計が急務だ。もう一度、政府を動かす証拠を揃えよう」


フィフが頷き、周囲の瓦礫に視線を送る。その目の奥には、誰にも見せない憂いがあった。


「マスター……もし、この先にもっと大きな爆発が起きたら、私は……」


「その時は、俺がお前を守る。逆も、頼むな」


ふと微笑んだフィフの表情は、人間そのものだった。


反物質という名の“狂気”はまだ沈黙していたが、その背後で確実に、何かが蠢き始めていた。

さらなる爆発が心配され、対応していく様子を描きました。

次話では、いよいよ惑星ガンマの終焉が近づく出来事が起きます。

ご期待ください。

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