第4話 脱出劇
惑星警察のイラド警部補の裏切りにあった強襲歩兵第一小隊は、再開発地区で多勢の武装勢力から、銃撃を受けた。
「撃ち返せ、突破しろ!」
大島優歩軍曹が敵中を果敢に走り、応戦すると、小隊が後に続き、
小隊長の福原ハル香中尉が、
「このまま走って、宇宙港へもどるのよ」
と、指揮して、敵の包囲を突破する。だが、
パパーン、パン、パン。
敵の銃撃は散発的に続き、市街地でも狙撃を受けた。それでも三十名の第一小隊は全員、無事に宇宙港へと辿り着いた。しかし、
「あ、あれは」
僕は唖然として、震える声を漏らす。
宇宙港では僕たちの乗ってきた兵員輸送艇が黒煙を上げて炎上していたのだ。
「クソッ、武装勢力に破壊されたのか」
江黒蓮上等兵が吐き捨てると、ハル香小隊長が通信兵の方へ視線を向けて確認した。
「パイロットの安否は?」
「いえ応答がありません」
と、首を振る通信兵。
その言葉を聞いた優歩軍曹が、悔しそうに呟いた。
「おそらく殺されたのね」
だが現在、敵は宇宙港にいないようだ。パワードスーツを着装した小隊の姿を見て、逃げ出したのだろう。
「敵は、すぐに援軍を募って、ここに殺到してきますよ」
江黒上等兵が、ハル香小隊長に進言している側で、僕は優歩軍曹に質問した。
「どうやって、弐番艦まで戻るんですか?」
「非常時だ。民間の船を一隻、拿捕するよ」
優歩軍曹が即座に答え、その後、小隊は荷降ろしをしている輸送船を取り囲む。
「非常命令だ。お前ら、船から離れろ!」
江黒上等兵が怒鳴り声をあげたが、
「なんだよ。あんたらは?」
リーダーらしき中年男性が抗議する。しかし、その次の瞬間、ハル香小隊長が、
バババババーン。
空に向けて銃を連射した。さらに鋭い声で、
「死にたくなければ、退きなさい!」
と、威嚇する。これには男たちも、逃げるように輸送船から走り去った。
その頃、優歩軍曹は、
「悪いけど、協力してもらうよ」
と、銃口を突きつけて、メトシャエル系人類種のパイロットを一人、確保している。
「あんたら連邦共和国軍は、横暴が過ぎるぞ」
パイロットの吐いた言葉に、優歩軍曹は怒りの表情を見せ、
バシン。
銃床で背中を叩いた。
「痛いッ」
うずくまるパイロットを、さらにブーツの硬い部分で、ドカンと、蹴り上げ、
「早く、操縦席に付きな」
と、乱暴にコックピットに押し込む。