第3話 反政府・武装勢力
イラド警部補の案内で、武装勢力が潜伏する再開発地区に入った、パワードスーツを着装した第一小隊だが、
「帰れよ、お前らは何をしに来たんだ!」
と、現地の作業員の反発を買ってしまう。困った小隊長の福原ハル香中尉は、
「この作業員たちを、何とか説得できませんか?」
と、イラド警部補を頼ろとしたが、その時、彼の姿は、この場にはなかった。ハル香小隊長は、辺りをキョロキョロと見回しながら呼びかける。
「イラド警部補、何処にいるのでか?」
「これは罠にハメられたみたいですよ」
江黒蓮上等兵が、そう言いながら六連装のロケット・ランチャーを構えた。
その狙いの先は、突如、現れた装甲戦闘車だ。
江黒上等兵は吐き捨てるように呟く。
「あの、イラドとかいう、野郎が」
装甲戦闘車の銃座には、イラド警部補が付いていた。
「撃ちますよ」
江黒上等兵はロケット・ランチャーの引き金を引こうとしたが、ハル香小隊長が止める。
「まだ、待て、江黒上等兵、撃つな」
「撃たなきゃ、奴が撃って来ますよ」
江黒上等兵は言葉を返したが、その時、大島優歩軍曹が大声で指示を出した。
「全員、速やかに、この場から散開しろ!」
瞬時に三十名の第一小隊は四方に散ったが、同時に、
ババンッ、バババババーン、ババババーン。
イラドが重機関銃を乱射する。僕は必死に走り、建物の陰に転がり込んだ。
ババーン、バンバン。バババーン。
小隊も応戦して、装甲戦闘車との激しい銃撃戦が始まる。そして、次の瞬間。
ドカーンッ!
爆発炎上したの敵の装甲戦闘車だ。。江黒上等兵がロケット・ランチャーで仕留めたらしい。だが、僕は、
「あ、あれは」
イラドが爆発の寸前に逃げ出したのを目撃する。
「イラドが逃げました!」
大声で報告した僕だが、ハル香小隊長は、
「そんな事はいいから、全速力で走って宇宙港に戻るのよ」
と、小隊に命令を下した。どうやら潜伏している武装勢力は五、六人などではなく、かなりの人数がいるようだ。
パーン、パパーン、パン、パン、パパーン。
取り囲まれ、四方八方から銃撃を受ける第一小隊。その銃弾の中に、果敢にも飛び出す優歩軍曹。
「全力で走れ、宇宙港に戻るんだ!」
小隊を鼓舞するように叫ぶ優歩軍曹。
僕も物陰から飛び出し、小銃を乱射しながら、優歩軍曹の後に続いた。